気候変動による全球規模経済影響のエミュレーション手法の試作と評価

高倉潤也, 藤森真一郎, 高橋潔, ZHOUQIAN, 花崎直太, 飯泉仁之直, 長谷川知子, 本田靖, 増井利彦, 肱岡靖明
2019.10.10

論文情報

気候変動による全球規模経済影響のエミュレーション手法の試作と評価

著者:高倉潤也, 藤森真一郎, 高橋潔, ZHOUQIAN, 花崎直太, 飯泉仁之直, 長谷川知子, 本田靖, 増井利彦, 肱岡靖明
年:2019
掲載誌:土木学会論文集G(環境)、75 (5)、I_73-I_80

キーワード

気候変動、経済影響、シミュレーション、エミュレーション

概要

 私たちの研究グループでは、気候変動によって生じる経済的影響のシミュレーションを行っています(http://www.nies.go.jp/whatsnew/20190925/20190925.html).この際に用いられるプロセスベースの生物・物理的影響モデルや社会経済モデルは,精緻な計算が可能である一方,計算負荷が大きく,限られた数の将来シナリオの下でしかシミュレーションを実施することができませんでした.この課題を解決するため,この研究ではプロセスベースの経済影響のシミュレーション結果を,少ない計算負荷で統計的に再現(エミュレーション)する手法の試作を行いました.試作したエミュレーション手法は気温以外の要素や変数間の相互作用を考慮することで,特に気候変動の影響が明瞭に見られる場合において経済影響シミュレーションの結果を精度良く再現できることが確認できました.また,より精度の高いエミュレーションを実施するには,時間的・空間的により詳細な情報がエミュレータへの入力として必要である可能性が示唆されました.
図:プロセスベースのシミュレーションと統計ベースのエミュレーションの概念図