論文情報
つくば市を例に開発時期が異なる市街地に着目した年齢別人口構成の推移に関する分析
著者:欧陽 君顔、金 炅敏、松橋 啓介
発行年:2025
掲載誌:都市計画論文集, 60(3), 1705-1710, 2025.
DOI:https://doi.org/10.11361/journalcpij.60.1705
キーワード
人口動態、年齢・時代・世代分析、つくば市、都市開発
論文の紹介

入居時の年齢層の偏りがある住宅団地では、年齢別人口構成の変化を伴う急激な人口減少が起こりやすく、年齢層に応じた生活サービスを効率的かつ安定的に提供することが難しくなっています。本研究では、研究学園都市の建設(1963年閣議了解)とつくばエクスプレス(TX)の開業(2005年)という開発時期が異なる市街地を有するつくば市を例として、年齢5歳階級別人口について「ベイズ型APC分析※1」を適用し、各地区の年齢別人口構成の変化を概観した上で、年齢・時代・世代の変動要因を分析し、世代の多様化および年齢別人口構成の平準化の状況を考察しました。
※1ベイズ型APC分析とは、ベイズ統計の考え方を用いて、年齢・時代・世代(コホート)の効果の大きさを識別する分析手法です。
まず、つくば市都市計画マスタープラン2015の将来都市構想図に基づき、開発時期に着目して、図1に示す研究学園地区(A)、 TX沿線地区(B)、既成市街地※2地区(C)、産業系(D)と市街化調整区域から成るその他地区(X)の四つに区分しました。次に、世界測地系で整備されている2000年から2020年まで5時点の国勢調査第4次メッシュ年齢5歳階級別人口データをもとに、図1に示す四つの地区別に年齢5歳階級別データを集計しました。
※2既成市街地地区とは、市街化区域のうち、研究学園地区やTX沿線地区に含まれない市街地を指します。
- 20歳未満は時代を問わず安定もしくは微増
- 20-24歳はTX開通後に減少傾向にありましたが、2020年に増加
- 2020年には、45-49歳および70-74歳となる1970-75年生まれの世代(団塊ジュニア)と1945-1950年生まれの世代(団塊の世代)がピークを示す状態で推移
- 60歳以上の人口は少ないが増加傾向

図3は、図2と同じ図を4地区について作成したものです。年齢・時代・世代の特徴が明確なところもあれば、複数の要因が組み合わさっているところもあることが分かります。

図4は、左から、年齢・時代・世代について、それぞれの全国平均に比較した効果の大きさを識別した結果を示しています。

TX沿線地区を例に解説します。年齢効果については、30-59歳までプラスの効果があり、15-19歳と20-24歳のマイナスの年齢効果と対照的です。15-24歳がマイナスである傾向からは、高校生や大学生に関連する世帯には選ばれにくい状況にあることがうかがわれます。時代効果は顕著で、特に2005年以降の効果の増加の幅が継続的に大きくなっているため、開発に伴う人口増加が継続的であったことが分かります。世代効果は、2005-2010年生まれ以降がプラスで増加を続けていて、1970-75年生まれの団塊ジュニア以前でマイナスの傾向にあります。出産子育てのライフステージにあることが、TX沿線地区への入居の鍵となっていると考えられます。
分析の結果、つくば市では都市と郊外の二極化や高齢者の偏在が指摘されていますが、高齢者が明らかに多い地区は市内に存在していないことが分かりました。一方、研究学園地区では、これまでにない規模での高齢者向け施設の整備が今後必要となります。TX沿線地区では、小中学校の整備に続く形で、高校生向けの適切な施設整備も早急に求められます。本研究の分析は、地区に応じた立地適正化計画等の立案に役立てられることが期待されます。




