Measurement of the Importance of 11 Sustainable Development Criteria: How Do the Important Criteria Differ among Four Asian Countries and Shift as the Economy Develops ?
(11の持続可能な開発クライテリアの重要度計測~アジア4か国での重要クライテリアの違いと経済発展による推移)

田崎智宏、多島良、亀山康子
2021.10.18

論文情報

Measurement of the Importance of 11 Sustainable Development Criteria: How Do the Important Criteria Differ among Four Asian Countries and Shift as the Economy Develops ?
(11の持続可能な開発クライテリアの重要度計測~アジア4か国での重要クライテリアの違いと経済発展による推移)

著者: 田崎智宏、多島良、亀山康子
年: 2021
掲載誌: Sustainability 2021, 13(17), 9719

キーワード

持続可能性クライテリア、国家目標、国の発展段階、間接的表明選好、持続可能な開発目標(SDGs)

概要

一国の発展を計画するうえでは、発展で何を大切にしているかというクライテリアを理解することが重要です。しかしながら、どのクライテリアが他のクライテリアよりも重要であるかは必ずしも明確ではありません。また、それらのクライテリアと経済発展との関係も多くの国で明らかになっていません。

そこで本研究では、国の持続可能な発展に向けたクライテリア(以下、「SDクライテリア」という。)の重要性を計測するための間接的な表明選好法を考案し、それをアジアの4か国(日本、韓国、タイ、ベトナム)に適用して、一般の人々が考える11のSDクライテリアの重要度を計測しました。セキュリティ、効率性、アクセス可能性、ケイパビリティ、環境容量という5つのSDクライテリアは、4か国すべてにおいて比較的重要であると認識されていました。しかしながら、各国の人々が考えるこれらの重要度の順位は異なっていました。例えば、国のGDPが増加するにつれて、環境容量の順位は低下し、他方、包摂性の順位は上昇しました(図1)。タイとベトナムの回答者は比較的類似の認識を有しており、全体として、韓国と日本の回答者よりもクライテリアの重要度が高い傾向がありました。また、現在重要と考えられているクライテリアは、将来も同様に重要であると認識されていることが分かりました(図2)。

図1  日本、韓国、タイ、ベトナムにおける11のSDクライテリアの基準化した重要度の順位(上位5位に含まれるクライテリアを表示。一人あたりGDPは2014年の購買力平価にもとづく値)
国の一人あたりGDPが増加するにつれて、環境容量(Environmental capacity)の順位は低下し、他方、包摂性(Inclusiveness)の順位は上昇しています。
図2 日本、韓国、タイ、ベトナムにおける11のSDクライテリアの現在の重要度と将来の重要度変化(いずれも平均値を1で基準化した値)
4つの象限のうち右上の象限には、現在も将来も重要とされるクライテリアが記載されています。