Quantitative analyses of misclassification rates in the hazard classification of environmental chemicals: Evaluation of procedures for deriving predicted no‐effect concentrations in the Chemical Substance Control Law in Japan 
(化学物質の有害性分類における誤分類率の定量的な解析:化学物質審査規制法における予測無影響濃度導出手順の評価)

Takehiko I. Hayashi, Ayako Furuhama, Hiroyuki Yokomizo, Hiroshi Yamamoto
2022.7.21

論文情報

Quantitative analyses of misclassification rates in the hazard classification of environmental chemicals: Evaluation of procedures for deriving predicted noeffect concentrations in the Chemical Substance Control Law in Japan

著者:Takehiko I. Hayashi, Ayako Furuhama, Hiroyuki Yokomizo, Hiroshi Yamamoto
年:2022
掲載誌: Risk Analysis

論文へのリンク(英文のみ)

キーワード

化学物質のリスク評価、化審法、生態毒性、有害性分類、IATA
(chemical risk assessment, chemical substance control law, ecotoxicity, hazard classification, integrated approaches to testing and assessment)

概要

本研究では,化学物質審査規制法の環境影響評価における無影響濃度の算出方法について,その有効性を定量的に評価した.本研究では,化学物質の分類が完全なデータセット(3つの栄養段階に対する慢性毒性データ)が揃っている時の分類と異なる場合に”誤分類”と定義し、データセットが不完全である場合に生じる”誤分類”の率を推定した。また,導出手順において,分類能力の一貫性を増加させるために不確実性係数を追加した場合の効果も計算した.その結果,特定の生態毒性データしかない場合(例えば,藻類の慢性毒性データしかない場合)に,現在の導出手順では誤分類率が非常に高くなる場合があることが明らかになった.また,追加の不確実性係数を使用することで,導出手順における誤分類率の一貫性が改善されることも明らかになった.本研究は,評価手続きにおける誤分類率を定量化するための広く適用可能な計算枠組みを提示し,今後の化学物質評価プロセスの開発・改革のためのケーススタディとなるものである。今後,様々な作用機序の生態毒性データを用いたさらなる解析が必要であると考えられる。

図1 存在する生態毒性データの内訳の場合分け(Cases)と、分類対象の化学物質(Chemicals)の組み合わせに対する、分類能力の評価の図。特にCase c12(藻類の慢性毒性データのみ存在)の場合に、多くの化学物質に対して分類能力が低くなることが示された。