Challenges for realising Japan long-term strategy for decarbonisation under the Paris Agreement, and the role of scenarios

Diego SILVA HERRAN, Akihisa KURIYAMA
2021.1.20

論文情報

 Challenges for realising Japan long-term strategy for decarbonisation under the Paris Agreement, and the role of scenarios

著者: Diego SILVA HERRAN, Akihisa KURIYAMA
年:2020
掲載誌:Working paper, Institute for Global Environmental Strategies, 1-29

論文へのリンク(英文のみ)

キーワード

シナリオ分析、日本、長期戦略

要旨

日本の脱炭素化のための長期戦略の策定と強化のため、長期戦略を実現するための課題とシナリオの役割を分析しました。なお、日本政府は2020年10月26日、「2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロ」を目指すことを宣言しましたが、本論文では80%削減目標について分析しています。これは、モデルによる分析データが80%削減目標についてのみ利用可能だったためです。長期戦略目標を実現するためには、あらゆる経済部門で根本的な社会変革を具現化することが必要ですが、そのためには過去に経験したことのない速度と規模感で変化を起こす必要があり、日本にとっては大きな挑戦となります。長期戦略の実現可能性を評価する基本となるのは、実現のための課題を明らかにすることです。また、定量的かつ体系的に幅広い観点をカバーし、多様な社会経済的発展によって長期的に起こりうる結果の幅を示す長期シナリオの分析も非常に重要です。課題を明らかにするため、本論文では日本の長期戦略を要約すると同時に、長期シナリオのモデル分析結果について、過去の傾向および国が決定する貢献(NDC)と比較しました。本論文で得られる知見は、政策決定者が長期戦略の策定と実現に伴う不確実性を算定するために必須の内容となっています。

図:GHG排出の主要要因の年間変化率。「Hist.」は1960-2016年の8つの時間枠の値、「2016-2030」はNDCの仮定に基づく値、「2030-2050」は異なる6モデルによる日本の80%排出削減シナリオの値。栗山ほか(Energy Policy2019)および杉山ほか(Energy 2019)のデータに基づいて作成した。