Assessment of bioenergy potential and associated costs in Japan for the 21st century
(21世紀を通じた我が国におけるバイオエネルギーの潜在生産量及び費用の評価)

Wenchao Wu, 長谷川知子, 藤森真一郎, 高橋潔, 大城賢
2020.8.28

論文情報

  Assessment of bioenergy potential and associated costs in Japan for the 21st century
(21世紀を通じた我が国におけるバイオエネルギーの潜在生産量及び費用の評価)

著者:Wenchao Wu, 長谷川知子, 藤森真一郎, 高橋潔, 大城賢
年:2020
掲載誌:Renewable Energy, 162, 308-321


論文へのリンク(英文のみ)

キーワード

バイオエネルギー潜在生産量;統合評価;日本;生産費用

要旨

我が国における長期の温室効果ガス排出削減政策およびエネルギー供給にとって、バイオエネルギーは重要な役割を担い得る。しかし一方で、バイオエネルギーの国内供給能力に関する理解はいまだ不足している。そこで本研究では、今世紀を通じた我が国におけるバイオエネルギーの、技術的潜在生産量ならびに経済的潜在生産量の推計に取り組んだ。推計にあたり、人口・農地需要の変化を所与の想定条件として扱う高空間解像度の土地利用モデルで構成される、複数種のバイオエネルギーの原料を区別して扱うことが可能な統合評価枠組を用いた。

推計の結果、我が国における21世紀中のバイオエネルギーの技術的潜在生産量は3.43~3.78EJ/年であり、これは現在の日本の一次エネルギー供給量の17.3~19.1%に相当する量である。原料の内訳をみると、非食用のバイオエネルギー作物が占める割合が最も大きく、2050年時点で1.34EJ/年、2100年には1.61/EJ/年と見積もられた。

Fig. 1. 我が国における原料別のバイオエネルギー潜在生産量

費用分析の結果をふまえると、エネルギー価格が5米ドル/GJであるとすると、技術的潜在生産量の約半分まで生産できる。潜在生産量を地図で示すと、陸上のバイオマス供給能は、主として日本の北東部、中央部、南部に分布している。推計結果によれば、我が国におけるエネルギー供給ならびに二酸化炭素排出削減に関して、これまで想定されてきたよりも大きな貢献がバイオエネルギーに期待できる。現状の発展戦略では輸入への依存が前提とされがちだが、バイオエネルギーに関していえば、本研究で推計された国内の潜在生産量は自給の選択肢も残しうるものである。

Fig. 2. 2050年における陸上の原料別のバイオエネルギー供給曲線(エネルギー価格(横軸)に応じた経済的バイオエネルギー潜在生産量(縦軸)