国立環境研究所 公開シンポジウム2015にて、社会センター研究員2名がポスター発表を行いました。

2015.6.30

1.はじめに

2015年6月19日(金)に東京で、同月26日に大阪で、国立環境研究所 公開シンポジウム2015『最新技術で迫る環境問題~テクノロジーで環境を読み解く~』が開催されました。社会環境システム研究センターからは、2名の研究員がポスター発表を行いました。

2.当日の様子

当日は生憎の雨模様だったにも関わらず、ポスターセッションにも講演にも、たくさんの方にご来場いただきました。

五味馨 研究員によるポスター発表
『地域スナップショットモデルによる地方自治体の将来社会・環境ビジョンの構築』

東日本大震災でも大きな被害を受けた地域の一つである福島県新地町の将来について、復興へ向けた4つの異なるシナリオを描いたことを今回の発表の主眼とされていました。
印象的だったのは、新地町の将来社会の形成に関わる様々な要因(人口増減、地元の産業や雇用状況、消費、エネルギーの利用、など)の複雑な関係を考慮したうえで、シナリオの計算をおこなったということでした。
今回の計算によると、現在人口約8千人の新地町において、「なりゆき」(震災以前の傾向が続く)シナリオでいくと、2050年には人口5千人を切ってしまう予想となっているのが、「環境産業共生」(省エネ・省資源型のまちづくり)シナリオでいくと同年には人口9千人まで回復する戦略も考えられる、ということでした。新地町の将来にとっては大変大きな影響となります。こうした研究が、これからの日本の他の地域にとってどのように参考にされるのかも期待されます。

参考URL:
http://www.nies.go.jp/event/sympo/2015/files/program_poster/2015_p01.pdf

戸川卓哉 研究員によるポスター発表
『地域エネルギー資源を活用した復興まちづくりの計画支援に関する研究』

戸川研究員もまた、福島県新地町をフィールドとして研究を行っています。今回のポスター発表では、地域エネルギー資源の活用に注目した復興まちづくりに関する研究内容を取り上げていました。
新地町は特殊なエネルギー事情を持った街なのです。実は、新地町には火力発電所があります。また、それだけでなく、LNG(液化天然ガス)発電所の建設が計画されています。
さらに、そういった施設からの排熱や冷熱の再利用が可能となるまちの構造をつくることで、より省エネ・低炭素のまちづくりが可能となります。
こうした研究成果が、新地町、ひいては他の市町村の低炭素な将来形成にも役立つと信じて、さらなる研究を進めていきます。

参考URL:
http://www.nies.go.jp/event/sympo/2015/files/program_poster/2015_p13.pdf

3.振り返って

今回、社会センターからは2名の研究員がそれぞれの研究成果についてポスター発表を行いました。この他にも他センターからの17名によるポスター発表と、5名による講演が行われました。国立環境研究所の幅広い取組について、一人でも多くの方に直接伝えることのできる貴重な機会となりました。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

次は夏の大公開(7/18(土)開催)がありますので、そちらもぜひお越しください!