【Keynote Speech】
Franky Zamzani, S.Hut., M.Env, Ministry of Environment and Forestry Indonesia / NDC and Role of Green City
インドネシアの最初のNDCとして、低炭素化と気候レジリエンスの開発、フレームワークの透明性、国際協調などの重要性について言及し、特に都市レベルでの温暖化対策が重要であることを強調しました。急激な都市化の進展の影響や温暖化への脆弱性、経済的なダメージを減らすために、市レベルでの簡易で低コストの対策が重要であり、ボゴール市では、意識啓発、規制の導入、市民のネットワーク化、エネルギー効率向上や交通問題の緩和等の重要性について述べました。
Drs. Sonny Rijadi, MM, BAPPEDA Bogor City / Green City Strategy of Bogor city
ボゴール市では、人口の増加、ジャカルタへの通勤の増加による交通量の増加などが課題となっており、その中で2030年の温暖化ガス排出量を現状予想より35%削減する目標を掲げています。現在の5年間の中期施策としては、都市計画の見直し、緑地の改善、都市化による汚染及び廃棄物の削減、都市交通システム及び歩行者道路の改善などに取り組んでいることを紹介しました。温暖化対策としては、バスや徒歩、自転車利用の推進、建物のエネルギー使用効率の向上が重要課題です。IPBやNIESの取り組みに感謝し、研究成果を将来計画に活かしていくことが述べられました。
Prof. Rizaldi Boer, Bogor Agricultural University / Integrated Research for Supporting Low Carbon Development Policy
最初に温暖化影響抑制のための1.5℃目標の意義、アジアでの低炭素化社会実現のための革新的技術導入の重要性を示しました。さらに社会経済シナリオに基づいて、エネルギー、工業、交通、農業、森林及び土地利用、廃棄物、人口および建物などの各分野からのGHG排出、さらに人の行動変化や削減技術の普及等を統合したモデルと、それを反映させた政策やステークホルダー間の対話の重要性についても強調しました。
Prof. Tsuyoshi Fujita, NIES Japan / Integrative Research for Strategic Project Design toward Sustainable Development Goals in Asian Cities
インドネシアMRV事業におけるエネルギー消費モニタリング及び広域展開、エネルギー需要についてのシナリオ及びモデルの開発、日本での環境配慮都市への取り組み事例紹介とともに、SDGs政策の影響評価等について発表しました。
【Presentations】
Naufal Isnaeni, S. Si, MT., BAPPEDA Bogor City / Bogor City Challenges in Eco City
環境都市ボゴールにおける2015-2019年の開発プログラムとして、温暖化対策、エネルギー効率、交通、農業、緑化、廃棄物管理を掲げています。廃棄物に関しては、約2/3が食品廃棄物であり、家庭からの排出が多くを占めています。その対策として、リサイクルの推進、新しい処分場の整備に取り組んでいます。IPB、NIESとの研究成果の活用に関しては、特に交通に関する市民への調査を通して、よりよい公共交通網の整備に取り組んでいきます。さらに、環境負荷の少ないエコ住宅地区や環境に配慮した建物の推進にも取り組んでいることを述べました。
Prof. Retno Gumilang Dewi, Bandung Institute of Technology / The Assessment on the Impact of Lower Carbon Footprint in PLN’s Grid JAMALI to the Indirect GHG Emissions Generation in Greater Jakarta (JABODETABEK) Area
Jamari電力供給グリッドにおいては、毎年発電量が増加し、その多くが石炭火力によるものです。需要側では、家庭、産業、業務/商業のいずれの分野でも増加し、それに伴ってCO2排出量も増加しています。DKIジャカルタにおける将来予測として、経済成長、人口増、産業構造、交通、技術、電力消費効率等の要因を考慮し、現状と効率化シナリオの評価を行った結果、現状のままでは20年後にはCO2排出量が現在の3倍近くに増加しますが、高効率シナリオでは、約2倍程度に抑制できることが分かりました。さらにJABODETABEK地域全体においても、2倍以内に抑制可能であることを示しました。
Dr. Minoru Fujii, NIES Japan / Creation of Reginal Circular Economy Spheres - High efficient energy recovery from waste
都市域と山村・農業地域を含めた地域物質循環への日本の取り組みとして、法規制の強化及びそれに伴う再資源化等の推進、廃棄物のエネルギー資源としての活用、工場群におけるエネルギー供給の共有化の事例、IOTの活用による廃棄物の有効活用、都市域等も含めた低炭素エネルギー供給システム等について発表しました。
Dr. Kei Gomi, NIES Japan / Identifying appropriate climate change mitigation actions in transport and residential sectors in Bogor City
AIM/ExSS + AFOLUAモデルの概要、ボゴール市の低炭素化政策に基づいた2030年におけるGHG排出削減効果のシミュレーション結果、環境問題への認識や交通手段の現状と課題、家電の使用状況と節電意識等に関するボゴール市民に対するアンケート調査結果等について紹介しました。
【Panel Discussion】
Dr. Shuichi Ashina (NIES Japan) / Role of Integrated Assessment Models for Designing Eco City
エネルギー、経済、環境の統合モデルであるAIMモデルにおいて、サブナショナル/地域レベルおよび都市レベルへの展開手法と、国内において得られた低炭素化の将来予測結果の事例について述べました。
パネルディスカッションにおいては、参加者から、「ボゴール市のエコシティの目標」「原子力エネルギーの利用」「電気自動車導入のポテンシャル」等について積極的な関心が示されました。