10人目のインタビューは、肱岡靖明室長(地域環境影響評価研究室/気候変動適応センター 副センター長)にお話しを伺いました。気候変動適応センター設立からちょうど1年経ちました。これからどんなことに取り組んでいかれるのでしょうか。

10人目のインタビューは、肱岡靖明室長(地域環境影響評価研究室/気候変動適応センター 副センター長)にお話しを伺いました。気候変動適応センター設立からちょうど1年経ちました。これからどんなことに取り組んでいかれるのでしょうか。
地方公共団体によって様々です。当初は地方環境研究所に設置されると考えていましたが、茨城県のように、茨城大学が母体となって立ち上げたケースや宮崎県のように県の環境森林部環境森林課内に設置したケース、三重県では一般財団法人に設置されたケースもあります。もちろん、長野県や埼玉県のように10年以上適応の研究を実施してきた地方環境研究所が母体となるケースもあります。このように、地方公共団体に状況に応じて、様々な形で地域気候変動適応センターが設立されてきています。また、適応への取り組みもさまざまであるため、我々はどんな形ででも協力できるように一緒に知恵を絞って適応に取り組んでいきたいと考えています。
まだ適応法が成立していない時期は、適応策の重要さはわかるけどまだやらなくてもよいのでは?とか、適応策に取り組みたくてもその根拠がないためどうやって関係者に説明すればわからないし、どうやって進めていいかもわからない、など、後ろ向きなコメントがよく聞かれました。我々も、手元にある情報や研究成果を渡す程度で、A-PLATも一方通行だった気がします。法施行後は、気候変動適応法第12条に規定する地域気候変動適応計画も30件近く策定されました。我々も、A-PLATのみならず、意見交換会や研修会などを開催したり、地方公共団体を訪問してニーズを伺ったりと、格段に活動が活発化したと思います。A-PLATのアクセス数も格段に増えました。やはり法律ができたことで、いろんな人が適応に興味を持ってきていると実感していますし、もっと必要な情報を充実させていかなくてはならないと強く感じています。
それはわかりませんが、個人的にはすべての都道府県で設置してもらうことを期待しています。できれば市町村レベルでも。もちろん、地域の適応センターが必要な情報をすべて自ら集めたり、独自に活動していくのは容易ではないと思います。そこで、我々ができるだけ多くのセンターを下支えできる体制を整えて、一緒に地域の適応を推進していきたいと考えています。特に、国環研は研究に関する情報を責任をもって整理して伝える役目、地域の適応センターはその情報を地元にしっかり伝えていく、地元で必要とされる情報は地域の適応センターと国環研が一緒になって創造していくという緊密な連携が取れたらと思っています。
あと、適応策の観点だけでずっと取り組まなくても良いだろうとも思っています。最終的には持続可能性とか安心安全の確保のための対策の中に、気候変動もこうやって対策しているから大丈夫だろうという、一つのパーツになればいいかなと思っていますね。それはまだ今の段階では理想論なので、まずは適応の考え方を知ってもらって、最終的に適応策もきちんと実施できて、気付かないうちに適応できていて良かったっていう世代になるといいかなと思います。それこそ、昔はこんな苦労していたらしいよと思われるかもしれませんね。今はちゃんと大丈夫なとこに住んでるし、2100年まで考えた生活してるし、いろんな災害の準備もできてるよとか。でもCO2はちゃんと減らしていかないとね、みたいな未来になるために、今のうちに適応するための準備を考えられたらなって。もちろんそんなに被害を受けずというか、気温も上がらずに雨も強くならなくなればそれに越したことはないんですけど。