昨年9月に地球環境論文賞を受賞された、藤森真一郎研究員にインタビューを行いました。
後編は研究者としてのやりがいや、さらなる挑戦について伺いました。

昨年9月に地球環境論文賞を受賞された、藤森真一郎研究員にインタビューを行いました。
後編は研究者としてのやりがいや、さらなる挑戦について伺いました。
それはとても難しい質問です。あまり自分でも明快に答えられません。はっきりという答えはなかったのかもしれないですけど、ある程度思っていたのは、普通に就職して企業の中で働くということに対して、あまり興味が持てなかったというのがありますね。だからと言って役所で働くのもいまいちクリエイティブでもないしな、という思いもありました。将来のこと決めるのは僕らの頃は修士課程1年目(M1)の秋以降でしたが就活が、同時に研究もそれなりに深くやり始めるじゃないですか。4回生、M1と研究をやってて、それなりに面白いなっていう感触もあったので、おそらく最終的にそこで決めたんだと思います。
そうですね。当時は、関連してるとあんまり思ってなかったですけどね。でもやってることはコンピュータでプログラムして計算することで、その作業自体はずっと一貫してますね。
それは、時期によって結構変わってきています。学生の頃は、すごくこう、研究作業自体に没頭していた面があったので、例えばコンピュータプログラムを書いていて、うまくいかないなー、となったあとにエラーが解けたっていうだけですごい達成感があるとか、難しいだろうと思っていたようなことがモデルでできるようになった、とかいうだけで楽しい面がありました。新しいプログラムを学んでそれを導入したというだけでも達成感があったように思います。それは特に学生のころに強かったと思いますね。
博士課程が終わったあと、今の職場に来てもう少しまともに研究っぽい研究をやっていく中で、論文を書いて、査読を通すっていうことに対して喜びを感じることが強くなってきた時期がありました。それまであまり、自分の成果を世の中に出すということに重きを置かずにやっていたけど、少しずつそういう方向になってきて、世の中に自分の成果物が出たらうれしいな、という感覚です。査読を通るプロセスとかもやっぱ大変なので、それをクリアするっていうことに対する達成感とかもたぶんあったと思います。
そうですね。次のチャレンジ。まだ、達成できてないんですけど、もっとすごい、『Nature』とか『Science』とかに出したらもうちょっとうれしいだろうなとか、あるいは、今、海外の同業者の人らと比べるとまだ全然迫力がなくて、向こうのほうがすごいんですよね。何がすごいのかよく分からないですけど、この研究業界を全部牛耳られてる感じで、そこにきちんと対抗して、あの人たちに自分の存在を認めさせたいという願望があります。彼らが認めてくれたらたぶん、結構満足するんじゃないかなという気がします。でも、それは今のとこチャレンジの段階で、達成はできていません。
5年くらいで。5年くらいではやりたいですね。
そうですよね。5年たったら同じ研究やっているかどうかも分からないですよね。
敷居高いですかね。高く感じました?
(笑)どういうところで感じました?
これ私の能力で足りるのかなみたいなとか、そういうことですか。
でも僕もひーひー言ってましたよね。それはなんとなく(今も)変わらないような気がしますけど。でもそういうひーひーを、ある程度楽しめるかどうかとかいうようなこともあるかもしれないですね。あとは、根っこのところである程度楽観的に考えるということも必要かもしれないですね。そういうのはもう、先天的なものも大いにあるかもしれないです。僕はネガティブで、どちらかというと負けん気のみで生きているというような気がします。でもそれも見方によれば楽観的かもしれません。大学生とかに言うとすれば、「いや面白いよ、こういう研究」ってぜひ伝えたいですけどね。
僕はサッカーをやっています。本当にいいストレス発散源になってますね。
そうですね。所内もそうですし、あと、隣の気象研のサッカー部にもちょっと混ぜてもらっています。うちのサッカー同好会はリーグ戦とか参加してないんですけど、隣(気象研)は参加してるので、そういうところに混ぜてもらっています
つくば市にリーグがあるんですよ。学園リーグって呼ばれてるやつがあっていろんな研究所がサッカーチームを持っていて参加しています。で、そこに出てやらせてもらってます。
できる時間があればそうですね。だいたい土曜日はやっています。平日は環境研にいればお昼休みに、環境研でもそうですし、気象研でもお昼にやってるのでどっちかに行くっていうことをしてますね。
いろんなストレスをボールにぶつけてるっていうところでもありますけどね(笑)。
第3回スタッフインタビューは、藤森真一郎研究員に、気候変動の緩和策や影響のモデルや、研究者としてのやりがいなどについてお答えいただきました。
(聞き手:杦本友里(社会環境システム研究センター)、2015年9月28日インタビュー実施)
(撮影:成田正司(企画部広報室))