SDGsをはじめとする持続可能な発展の目標では、私たちが目標に向かって進んでいるかをチェックするための指標が必要になります。そうした指標の一つが、資本に基づいた持続可能性指標と言われるものです。
私たちは、祖先から受け継いできた大切なものを、次の世代も使えるように残したいという、本能にも似た感覚を持っているのではないでしょうか。資本に基づいた持続可能性指標とは、人工資本、人的資本、そして自然資本が全体として減っていないかどうか、将来世代に引き継ぐだけ十分に残っているかを確認するものです。この記事では、持続可能性指標で測るべき自然、自然資本とは何かについて考えます。
将来世代は、今を生きる私たちとは違う人々ですし、価値観が異なるかもしれません。そもそも人口規模も異なります。そこで私は共同研究者とともに、将来世代「1人当たり」の生活水準や生活の質を確保するために、将来世代に引き継ぐ資本が十分かどうかを確認する持続可能性指標を提案しています(Asheim et al. 2023)。将来世代を漠然とした存在としてではなく、より具体的な一人一人として想像し、彼らのためにどんな社会を作るのかを議論することにつながればと思っています。