「環境に対する損害が発生する可能性があるため、政府は憲法第20a条(解説2)に基づき、将来世代への配慮をする責任があります。さらに、憲法第2条(解説2)に規定されている国家の保護義務には、将来世代を保護する義務も含まれています。」(ドイツ連邦憲法裁判所 2021年3月24日)
判決は非常に斬新で、ドイツの気候保護政策が将来世代の自由の行使を大幅に制限することになると述べました。憲法に照らして言えば、2019年気候保護法は、必要な温室効果ガスの削減を未来に先送りし、将来世代に不当に負担を負わせているため、違憲とされました。すべての法律や政策は憲法に合致していなければなりませんので、2019年気候保護法は改正されなければなりませんでした。
判決の重要なポイントは以下の通りです。
- 2050年CO2ネットゼロがドイツ基本法(憲法) 第20a条の憲法上の国家の責務であるとした
- 2019年気候保護法は対策を2031年以降に先送りしており、その結果、気候緩和コストの大半を将来世代に負担させることになると指摘した
- 憲法第20a条に基づき、政府は将来世代に配慮する責任があるため、将来世代に気候緩和コストを押し付ける2019年気候保護法は憲法違反であるとされた
気候変動の影響は時間とともに悪化するため、将来世代は気候変動を引き起こした責任が少ないにもかかわらず現世代よりも苦しみ、人生の選択における幅を制限される可能性があります。気候緩和コストの大半を将来世代に押し付けていることと併せて、憲法裁判所は2019年気候保護法が、将来世代の自由を制限するものだとして問題視したのです。