研究集会『研究者/研究所として“EBPM”にどう関わるとよいのか?』

環境経済評価連携研究グループでは、2019年12月10日に下記の研究集会を開催しました。当日は所内16名と環境省、内閣官房行政改革推進本部をはじめ、農研機構、科学警察研究所、経済産業研究所などの方々にご参加いただきました。さらに、筑波大学、広島大学、岡山大学、山口大学などの大学関係者、加えて民間シンクタンク・事業者等から合計約50名の方々にご参加いただき、「研究者/研究所として“EBPM”とどう関わっていけばよいのか」について活発な議論を行いました。

開催日時・場所
2019年12月10日(火)15:00-17:00 国立環境研究所 中会議室

企画趣旨
現在、エビデンスにもとづく政策形成を促すことを目指した「Evidence-Based Policy Making (EBPM)」の潮流が英米を中心として世界的に広まってきています。また、日本でも行政改革推進本部を中心にEBPMの行政への導入・推進の取り組みが始まっています。EBPMは、学術的知見を政策へ橋渡しするための“回路”として、学術界にとっても非常に重要な潮流といえます。しかしながら、研究者/研究所等として、「実際問題としてEBPMとどう絡んでいったらよいのか」は、必ずしも自明な話ではありません。その理由の一つは、EBPM概念そのものの多義性にあります。ひとくちに“EBPM”といってもその指示内容は人や場合により大きく異なるため、そもそも「どのEBPM」にコミットするべきなのかという悩みが生じます。また、EBPMを実装していく上では、行政側や学術側における組織文化上の制約とどう向き合っていけばよいのかという悩みも生じます。さらに、EBPMにおいて重要となる因果推論手法に関する理解が(行政においても学術界においても)まだまだ浅いという悩みもあります。

本集会では、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの井上領介氏をお招きして“EBPM”自体および、ランダム化比較試験を中心に「EBPMで重要となる政策の因果効果の推定法」について解説をいただきます。井上氏らは2019年ノーベル経済学賞を受賞したデュフロとクレーマーらの因果推論に関する著書を翻訳し、受賞前のタイミングで公刊されています(書籍「政策評価のための因果関係の見つけ方」(外部リンク:日本評論社サイト))。ご講演の後、「研究者/研究所等として“EBPM”とどう関わっていけばよいのか」についてフロアを交えて話題提供・議論していく予定です。

プログラム
はじめに 横尾 英史(一橋大学&国立環境研究所)

講演「因果推論とEBPM:環境分野を念頭に」
講師:井上 領介(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

総合討論のための話題提供1「食料・農業分野におけるEBPMの事例紹介」
演者:佐々木 宏樹(農林水産政策研究所)

総合討論のための話題提供2「EBPM、“E”から見るか?“PM”から見るか?」
演者:林 岳彦(国立環境研究所)

総合討論「研究者/研究所として“EBPM”にどう関わるとよいのか?」

おわりに 日引 聡(東北大学&国立環境研究所)