電気炉による鉄リサイクルに随伴するPFAS等処理困難物質の挙動と社会システム構築に関する研究(令和 8年度)Fate and control of PFAS and other recalcitrant substances in electric arc furnace iron recycling toward carbon neutrality and a circular economy
- 予算区分
- 3-2601
- 研究課題コード
- 2628BA012
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- 素材リサイクル,残留性有機汚染物質,分解ダイナミクス,副生成物,排出インベントリ
- キーワード(英語)
- Material Recycling,Persistent Organic Pollutants,Degradation Dynamics,By-products,Emission Inventory
課題代表者
梶原 夏子
- 資源循環領域
試験評価・適正管理研究室 - 上級主幹研究員
- 博士 (学術)
- 化学
担当者
- 倉持 秀敏資源循環領域
- 松神 秀徳資源循環領域
- 小井土 賢二資源循環領域
- ALIDOUST Saharkhiz Lahiji Mona資源循環領域
研究概要
本課題では、脱炭素社会(CN)および資源循環経済(CE)実現に向けて普及が進む製鋼用電気炉の超高温域(約1,600℃)による高い化学物質分解処理性能に着目し、環境政策上の喫緊の課題である有機フッ素化合物(PFAS)等処理困難物質の適正処理を調和させた新たな社会システムの構築を目指す。1)電気炉実機を用いたフィールド調査、2)実験炉を用いた分解プロセスの詳細解析、3)電気炉リサイクルのシステム評価、の3つのサブテーマで研究を実施する。
以上の結果から、電気炉による鉄リサイクル過程において、社会に幅広く存在するPFAS等処理困難物質の分解処理を確認し、科学的に分解メカニズムを紐解きながら既存の電気炉システムが化学物質管理に果たしている役割を物質収支的に解明するとともに、環境排出負荷を定量的に把握する。また、電気炉リサイクルに係る物質フロー解析やシステム分析・評価を基に、CN×CEと調和しつつ、PFAS等処理困難物質の適正処理システムの一つとして電気炉を社会実装するための科学的知見および社会システム像の提示を目指す。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
サブテーマ1では、電気炉に装入されるスクラップに混入するPFASや新規/候補残留性有機汚染物質(POPs)の含有実態を把握するとともに、排ガス処理プロセスに伴う有害物質の挙動を解析し、化学物質の物質収支を踏まえてPFAS等の適正処理技術としての電気炉のあり方を提示する。サブテーマ2では、電気炉プロセスを模擬した管状炉にて各種温度等におけるPFAS等有害物質の分解速度および副生成の挙動を詳細に把握し、副生成物対策に加え、理論的に99.999%以上の高度な分解率を達成する処理プロセスとその操作条件を提示する。サブテーマ3では、電気炉リサイクルにおける物質フローおよび温室効果ガス(GHG)排出削減インベントリを作成し、電気炉の導入効果を評価するとともに、将来シナリオ分析により社会的効果を定量化する。
今年度の研究概要
サブテーマ1では、リサイクル原料を幅広く採取し、PFASや新規/候補POPs等の化学分析に着手する。稼働中の電気炉で排ガスおよびばいじんを処理プロセス経路ごとにサンプリングし、有害物質や副生成物の分配挙動や排出実態を明らかにする。得られた化学分析データから、重点的に調査対象とすべき化学物質を選定する。サブテーマ2では、試薬ベースで規制PFASとその塩に対して分解速度を求めるとともに、副生成物を把握し、分解メカニズムと高度分解に要する時間を考察する。並行して、実際の廃棄物に対する分解速度を把握するために、電気炉プロセスを模擬した管状炉を試作し、加熱時における重量変化と副生成物を測定する機能を付与する。サブテーマ3では、電気炉リサイクル工程における廃棄物、鉄製品、含有化学物質の物質収支やGHG排出量・削減量に関する知見を既往研究やLCIデータベース等から情報収集する。電気炉1基における投入廃棄物・鉄製品の物質収支および鉄リサイクルによるGHG排出削減効果を推定するモデルを開発する。
外部との連携
京都大学、岡山大学、総合地球環境学研究所