半閉鎖性水域における微細マイクロプラスチックの集積機構の理解と対策指向型マッピング(令和 8年度)
Mechanistic Understanding and Countermeasure-Oriented Mapping of Small Microplastic Accumulation in Semi-Enclosed Water Bodies

予算区分
1-2603
研究課題コード
2628BA004
開始/終了年度
2026~2028年
キーワード(日本語)
微細マイクロプラスチック,半閉鎖性水域,集積機構,多媒体モデル,ホットスポット,マッピング
キーワード(英語)
small microplastic,semi-enclosed aquatic environments,accumulation mechanisms,multimedia model,hotspots,mapping

課題代表者

鈴木 剛

  • 資源循環領域
    持続循環先端技術研究室
  • 室長(研究)
  • 農学博士
  • 生化学,化学

担当者

研究概要

プラスチック汚染は国際的な喫緊の課題である。国連環境総会決議に基づく政府間交渉委員会(INC)は2025年8月までに6回開催されたが合意に至らず、合意形成を後押しする比較可能な科学指標の整備・提示が急務である。
表層堆積物のマイクロプラスチック(MP)汚染は浅海から深海まで多数報告され主要シンクとされる。100 μm以下の微細MPが卓越する一方、下限粒径や材質同定法が不統一により横断比較は困難である。バイオフィルム付着や有機・鉱物凝集に由来するバラスト効果が沈降・集積を促進することが示されているが、媒体間で整合した定量研究は不足している。先行研究(環境研究総合推進費1-2204)では、20 μm〜5 mmを対象に各媒体を横断評価し、材質・粒径で動態が大きく異なり、特に100 μm以下のポリオレフィン破片が堆積物でホットスポットを形成しうることを示した。難回収・難分解という特性を踏まえ、滞留時間が長い半閉鎖性水域に焦点を当て、集積機構の解明とホットスポット把握が必要である。
本研究は微細MP(20〜300 μm)を主対象に、半閉鎖性水域(内湾・湖沼・干潟:大村湾・霞ヶ浦・漫湖)における輸送・沈降・堆積の収支を、共通作業標準書(SOP)(採取・前処理・材質同定・精度管理)に基づく統一測定(表層堆積物、堆積物コア、海・湖表層水/水柱、河川表層水、大気降下物)とバラスト効果を実装した観測同化型多媒体モデルで実証・定量する。その知見から、日本の半閉鎖性水域の表層堆積物の集積濃度に基づく対策優先度マップを作成・公開し、流域のプラスチックのフロー・ストック及び流出インベントリと統合して、優先的に流出抑制対策すべき排出源・区域を提示する。
成果は重点課題?・?及び行政要請研究(1-10)に整合し、INC議長案テキスト第6条(放出・流出)等に対応する比較可能な科学指標と運用法の提示に繋がり、微細MPモニタリングの効率化、対策効果の検証、生態リスク評価の高度化に貢献する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では、半閉鎖性水域における微細マイクロプラスチック(微細MP)の集積機構の理解と対策指向型マッピングに向け、20〜300 μmの微細MPを主対象として、統一測定法に基づくデータ取得・統合、実効沈降速度の推定、観測同化型多媒体モデルによる輸送・沈降・堆積過程の解析を進める。粒径、材質、形状別に実効沈降速度を推定・検証し、モデル実装用のパラメータ表として提示するとともに、バラスト効果を実装したモデルにより、日本の半閉鎖性水域における微細MPの輸送・沈降・堆積の収支を推計する。さらに、表層堆積物における集積濃度に基づき、対策優先度マップを作成・公開する。あわせて、プラスチックのフロー・ストックおよび流出インベントリを統合し、優先的に流出抑制を行うべき排出源・区域を特定する。また、堆積物および表層水を対象とした統一測定法について、共通作業手順書(SOP)の最終案、研究所間比較試験の結果、精度管理用テンプレートおよびデータ報告様式を整備・提供し、微細MPの測定・評価・対策検討に資する基盤を構築する。

今年度の研究概要

今年度は、微細MPを主対象に、半閉鎖性水域における集積機構の理解と対策指向型マッピングに向けた基盤整備を進める。表層水および堆積物を対象とした統一測定法について、共通作業手順書(SOP)の整備、精度管理手法の検討、研究所間比較試験の準備を行う。あわせて、大村湾、霞ヶ浦、漫湖等のモデル水域において、粒径、材質、形状別の微細MPの分布実態を把握し、沈降試験や現地観測により、実効沈降速度やバラスト効果の評価に必要なデータを取得する。さらに、観測同化型多媒体モデルに用いる入力条件やパラメータを整理し、プラスチックのフロー・ストックおよび流出インベントリと連携した評価枠組みの構築に着手する。

外部との連携

産業技術総合研究所、静岡県環境衛生科学研究所、長崎県環境保健研究センター、沖縄県衛生環境研究所、北海道立総合研究機構、エックス都市研究所

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