モンゴルの草原と人々の生活を守るために
2024/03/2510分で読めます
モンゴルは東アジアの内陸部に広がる広大な国です。国土は日本の約4倍もあり、その大部分は草原です。広大な草原では、羊やヤギなどの遊牧がさかんに行われてきました。ところが、近年では経済成長や都市の発展に加え、気候変動の影響もあり、草原の砂漠化や、多様性の損失、生産性の低下など草原の劣化が進んできました。美しい草原がなくならないように、いつまでも人々が草原と共生できるように、地域環境保全領域の王勤学さん、中山忠暢さん、岡寺智大さんは、気候変動や都市開発などが草原の生態系に及ぼす影響について研究しています。また、今後どのようにその環境の変化に適応していくか、その対策を検討しています。
※執筆当時
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草原と遊牧の国
研究を始めたきっかけは何ですか。
2001年にモンゴルで行われた会議に参加したことです。どこまでも続くモンゴルの草原の風景がとてもきれいで、感激しました。ただ、その時の会議では、地球温暖化の影響や土地利用の変化によって、モンゴルの草原が砂漠化するなどの問題が起こっていることが議題になっていました。そこで、モンゴルの草原の問題について研究したいと思うようになったのです。ちょうどそのころ、地球温暖化の影響を調べるための観測ネットワークを立ち上げてモンゴルでも観測することになりました。最初は2か所の観測地点を設けて、気象要素や土壌温度プロファイルなどの項目を測定していましたが、その後、年々観測サイトを増やして、2009年までに8か所で永久凍土の観測や、さらに2015年から3か所で温室効果ガスCO2フラックスの観測も実施しています。同時に植生調査なども行っています。