アジアの気候変動緩和策の実現に向けた多国モデルの開発と日本の役割の評価に関する研究(令和 8年度)A Study on development of multi-country model to assess climate change mitigation measures in Asia and evaluation of Japan’s role to achieve decarbonized society
- 予算区分
- サブテーマ1
- 研究課題コード
- 2628BA016
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- 脱炭素シナリオ,統合評価モデル
- キーワード(英語)
- Decarbonization Scenarios,Integrated Assessment Model
課題代表者
花岡 達也
- 社会システム領域
統合評価・持続社会研究室 - 室長(研究)
- 博士(工学)
- 工学,システム工学,経済学
担当者
- 増井 利彦社会システム領域
- 日比野 剛
- RAJBHANDARI SAINJU Salony社会システム領域
- ROSSITA Annuri社会システム領域
研究概要
工業化前からの世界の平均気温上昇が1.5℃直前に迫る中、先進国だけでなく発展途上国における温室効果ガス排出量の早期ゼロに向けた野心的な取組が求められている。一方で、発展途上国では経済発展が優先され、先進国からの支援を前提とした脱炭素社会の実現に向けたシナリオや計画が策定されているが、1.5℃目標の達成という観点からは十分とは言えない。また、各国のシナリオや計画は、貿易等を通じて他国からの影響を受けたり他国に対して影響を及ぼすが、これらは評価の範囲外である。日本における分析でも、水素をはじめとする新燃料の輸入や、JCMのような途上国が期待する省エネ技術の提供やクレジットの共有といった点については十分ではなく、こうした問題は日本だけでなく水素を供給する国やJCM対象国にも大きく影響する。
こうした現状を踏まえ、本研究ではこれまでアジアの主要国について国別に開発が進められてきた統合評価モデルのうち、経済モデルである応用一般均衡モデルを改良、共通化するとともに、国際産業連関表等のデータを用いて多国間貿易や技術移転を付加することで多国モデルへと拡張する。さらに、拡張した多国モデルを用いて、各国の脱炭素社会に向けた取組(脱炭素対策)による相互影響を定量的に明らかにするとともに、技術や資金の提供が期待されている日本の取組が各国の脱炭素対策にもたらす影響や日本へのフィードバックを定量的に明らかにする。こうした分析を通じて、アジア全体において早期に脱炭素社会を実現するシナリオを、エネルギーをはじめとする域内の貿易も考慮に入れて明らかにするとともに、アジア全体での脱炭素化に対する各国の役割を明示する。また、こうした各国への役割を踏まえた取組を更に詳細に分析できるように、国別の技術選択モデルや応用一般均衡モデルの入力情報を提供するインターフェースを作成し、各国の計画作成支援に資する情報提供を行う。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
これまでに開発してきた日本を含むアジア各国の応用一般均衡モデルAIM/CGEを、アジア開発銀行がとりまとめている多地域産業連関モデルのデータとIEAの技術別発電電力量などのデータと整合するように共通化し、各国間の貿易も反映させた多国モデルの開発を行う。また、開発したモデルを用いて、各国が提案している排出削減目標を反映させた将来シミュレーションを行い、アジア全域での脱炭素化に向けたシナリオの定量化を行う。また、アジアの脱炭素シナリオにおける日本の役割(技術移転の貢献やそれによる日本への裨益)を定量的に明らかにするとともに、日本の脱炭素シナリオにおけるアジアの役割(新燃料の供給)を定量化する。そして、対策の社会実装に向けて、技術選択モデルなどより詳細なモデルへのインプットが可能となるように、インターフェースの構築を行う。
今年度の研究概要
これまでに開発してきた国別の応用一般均衡モデルAIM/CGEの相互比較と、アジア開発銀行が作成している国際産業連関表等の部門比較を行い、多国モデルに拡張するための国別モデルの枠組みを定義し、それに従って各国モデル(日本、タイ、インドネシア、中国、インド等)の改良を行う。また、同じ枠組みでこれまで未開発のアジア各国(フィリピン、マレーシア、韓国等)の応用一般均衡モデルの開発を行う。さらに、多国モデルに必要な各国間の貿易データを整備するとともに多国モデル全体のフレームを開発する。あわせて、本研究課題で評価する脱炭素化に向けた対策を整理する。
外部との連携
推進費2MF-2602(課題代表機関は大阪大学)