侵略的外来生物選択的な薬剤を用いた化学的防除技術の基盤構築(令和 8年度)Establishment of a foundational framework for selective chemical control of invasive alien species
- 予算区分
- 代表
- 研究課題コード
- 2628BA015
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- 外来生物,ツマアカスズメバチ,クビアカツヤカミキリ
- キーワード(英語)
- invasive species,Vespa velutina,Aromia bungii
課題代表者
坂本 洋典
- 生物多様性領域
生態リスク評価・対策研究室 - 主任研究員
担当者
- 西村 正和生物多様性領域
研究概要
侵略的外来生物であるツマアカスズメバチ(Vespa velutina)およびクビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)は、人命に関わる深刻な刺傷被害やバラ科樹木の大量枯死などの甚大な被害をもたらす。しかしながら、両種の侵入の早期発見と定着後の根絶が極めて困難であるため、本研究では革新的な化学的防除体系を下記の戦略で構築する。これらの種の根絶防除が困難である最大の要因は、一般的な防除用薬剤は極めて選択性が低いため、非標的種に対する生態リスクが懸念され、容器入りベイト剤(ベイトステーション)や樹幹注入剤等の高コストな投与手法を用いざるを得ないことにある。そこで本研究では、これまでの薬剤投与方法を改良して低コスト化・効率化すると共に、分子生物学・構造生物学的手法とAI技術を駆使して高い選択性を発揮する新規薬剤を開発し、高効果・低リスクの新規化学的防除法を確立する。具体的には、サブテーマ1ではツマアカスズメバチに対し、ベイト剤の誘引物質および投与方法の改良を行い、ベイトステーションを不要とする防除技術を開発する。また、クビアカツヤカミキリ成虫の好適な摂食要因を明らかにし、空中薬剤散布等による防除の基盤を確立する。サブテーマ2においては、両種のドラフトゲノムおよびトランスクリプトームを取得して遺伝子情報基盤を整備し、新規薬剤開発に適した標的遺伝子を選定する。さらに、標的遺伝子を対象としたin vitro/in silico薬剤評価系等の創薬基盤を構築することで、大規模スクリーニングおよびドッキングシミュレーション等に基づき新規RNA干渉剤および低分子剤を開発する。これらのシーズ薬剤について、標的外来生物と非標的生物に対する効果を評価し、外来種に対して選択性および効果が高く、生態リスクが低い薬剤の選抜とその最適な投与方法を開発する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
・既存薬剤を用いた化学的防除について、低コストベイト剤および薬剤空中散布等の広域投与手法の基盤を構築する。
・生物個体レベルでの薬効評価系を構築し、活性および選択性に基づくリスク評価のガイドラインを策定する。
・侵略的外来生物2種の遺伝子情報および分子解析ツール基盤を確立する。
・in vitro/in silico薬剤評価系等の創薬基盤を構築する。
・新規選択的化学防除剤の創出と効率的投与手法を確立する。
今年度の研究概要
ツマアカスズメバチの防除用ベイト剤については、誤食が懸念されるミツバチ等の訪花性ハチ類が好まない動物質の誘引剤を添加し、選択性を強化した新規ベイト剤を開発する。また、低コストで広域にベイト剤投与可能なグリスガン等の装置を開発し、新規化学的防除系の基盤を構築する。クビアカツヤカミキリへの有効な薬剤投与法として、広域空中散布を想定し、定着地において同種の成虫が好む環境条件、摂食量等のデータを収集し、実施基盤を構築する。野外試験と並行し、それぞれの種の定着地での在来近縁種および希少種の動態データを収集し、それに基づき生態リスク評価を実施すべき種を選定する。
外部との連携
サブテーマ2として、農業・食品産業技術総合研究機構と連携して実施する。