都市域熱環境の広域評価と緩和策を含む暑熱リスク低減策の提案と評価(令和 8年度)Assessment of urban thermal environments and evaluation of climate change adaptation and mitigation strategies in cities
- 予算区分
- S-24-3(3)
- 研究課題コード
- 2529BA004
- 開始/終了年度
- 2025~2029年
- キーワード(日本語)
- 都市温暖化,気候変動適応策,気候変動緩和策
- キーワード(英語)
- Urban warming,Climate change adaptiation,Climate change mitigation
課題代表者
高根 雄也
- 気候変動適応センター
気候変動影響評価研究室 - 主任研究員
- 博士(理学)
- 地学,土木工学,建築学
担当者
- 横畠 徳太地球システム領域
研究概要
本研究では、日本全国の地方公共団体による暑熱リスク低減のための対策の実装を支援するために、全国を対象とした将来の都市暑熱環境・エネルギー消費・暑熱関連健康リスクの予測をおこなう。その上で、暑熱環境変化に伴う悪影響を抑えるための費用対効果の高い気候変動緩和策・適応策を明らかにする。
全国を対象とした都市暑熱環境・エネルギー消費量予測のために、従来よりも計算負荷の少ない都市気候建物エネルギーモデルを開発する。このモデルを、都市以外の土地利用における陸面の熱・水収支等を計算する統合陸域シミュレータと結合させた、「都市搭載型統合陸域モデル(日本版]」を開発する。この陸域モデルに、別途本研究で開発する都道府県別の暑熱関連死亡リスク関数を組み込む。また、陸域モデルにS-18等で開発された将来の人口・土地利用・気候シナリオも入力する。これらの組み込み・入力をおこなった陸域モデルを用いて、日本全国の都市を1kmで解像し、都道府県・シナリオ別の都市暑熱環境・エネルギー消費量・暑熱関連リスクの予測をおこなう。さらに、各気候変動緩和策・適応策を導入したケースでの多数のシミュレーションを実施し、各緩和策・適応策が暑熱環境緩和・省エネ・健康リスク低減へ及ぼす影響を定量的に明らかにする。この結果を、費用便益分析における便益とし、別途ライフサイクルアセスメントにより定量化する各緩和策・適応策の導入・維持費用と比較する(費用便益分析をおこなう)ことで、都道府県毎に費用対効果の高い緩和策・適応策、またはその組み合わせを明らかにする。
以上の結果を、別途本研究で開発するweb GIS上で可視化し、A-PLAT等に搭載・一般公開するとともにテーマ1へ提供する。この結果をもとに気候変動適応の研究会等において日本全国の各地方公共団体の担当者と議論等をおこない、各地方公共団体の暑熱リスク低減に向けた気候変動適応計画の策定や実装を支援する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
・ 都市搭載型統合陸域モデルの開発: ヒートアイランドや電力消費量、人工排熱等を計算可能な都市キャノピー建物エネルギーモデル(SLUCM+BEM)を開発する。このモデルを、既存の統合陸域シミュレータ(ILS)に組み込むことで、日本全国を1kmで計算可能な都市搭載型統合陸域モデルを開発する。
・ 都道府県別健康リスク関数の開発: 都道府県毎に疾患別・性別年代別の暑熱関連死亡リスク関数を開発する。これらの関数を、上記陸域モデルに組み込む。また、都道府県別のリスク関数において、気温のリスクへの感度に差が生じる要因の分析をおこない、必要に応じて陸域モデルで評価する緩和策・適応策に反映する。
・ 日本全国都市気候・エネルギー・健康リスク計算: 上記の陸域モデルで過去再現実験をおこないモデルの再現精度を確認する。その後、将来の人口・土地利用・気候シナリオに基づき将来の都市暑熱環境・エネルギー消費量・健康リスクの予測をおこなう。また、緩和策・適応策を導入した際の暑熱環境等への影響を定量化する。評価予定の対策は、エアコンとヒートポンプ給湯器の普及・使用、自動車電動化、建物断熱化、都市緑化、テレワーク等の人間行動変容である。
・ 費用便益分析: 各緩和策・適応策の導入・維持費用をライフサイクルアセスメント(LCA)により評価する環境影響も含めて調査する。調査した費用と上記計算により定量化された気温・エネルギー・健康リスク変化を便益として、各緩和策・適応策の費用対効果を、障害調整生存年(Disability-adjusted life years、DALY)に基づき定量化する。
・ Web GIS上での可視化・一般公開: 上記の暑熱環境・エネルギー・健康リスクへの将来予測結果、各緩和策・適応策の影響、そして費用対効果を、都道府県別にweb GISで可視化し、これをA-PLAT等を通じて一般公開する。この成果をテーマ1に提供するとともに、全国の地方公共団体の担当者とコミュニケーションを行い、緩和策・適応策の実装を支援する。
今年度の研究概要
・ SLUCM+BEMの開発やILSへの結合をおこない、都市搭載型統合陸域モデルを完成させる。整備した入力データを陸域モデルに入力する。さらに、過去の都市の気候の再現実験をおこなう
・ 暑熱関連死亡リスク関数を陸域モデルに組み込む。また、都道府県別の健康リスク関数に違いが生じる要因の分析をおこなう
・ 各種の健康リスクのDALYを推計する
・ 評価対象とする各緩和策・適応策の費用を調査するとともに、環境影響も費用として計上する
・ 気候変動適応の研究会等にて地方公共団体との議論を行う
外部との連携
・東京大学 大学院新領域創成研究科
・東京大学 大学院医学系研究科
・産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター