地域環境とニーズの多面的構造評価による湖沼流域での協働的計画立案の研究(令和 8年度)
Multidimensional Assessment of Local Environment and Community Needs for Collaborative Planning in Lake Basin Regions

予算区分
環境問題対応型研究(ミディアムファンディング枠)
研究課題コード
2628BA010
開始/終了年度
2026~2028年
キーワード(日本語)
地域循環共生圏,自然再興,相乗効果
キーワード(英語)
regional circular and ecological sphare,nature positive,synergy

課題代表者

五味 馨

  • 福島地域協働研究拠点
    環境協働システム研究室
  • 室長(研究)

担当者

研究概要

多様化・複雑化・総合化する地域環境の問題に同時解決を促すには、地域によって異なる課題群の全体像を整理・分析し、効果的な取組を特定し、地域間・主体間の協力を促す協働的な解決策立案の手法が必要である。
本研究では地域の環境諸課題・社会・経済の課題を体系的に構造化・可視化し、その地域に特有の、多課題に影響する要素を特定する「多面的構造評価」手法を開発する。構造化の要素には主体、環境の特徴(気候、地理・地形、土地利用、特定の生物、水・大気環境、温室効果ガス排出、気候変動影響など)、これを基盤とする生態系サービスの発生と活用、既存の取組、問題となる事象などが含まれ、要素の関係(正負の影響等)を図示して全体像を視覚的に表現し、これを解析することで重要な要素を特定する。これと地域モデルによる統合評価を組み合わせ、将来指標と取組効果を定量化する。
並行して多面的構造評価を地域主体間の協働的なプロセスにより実践し、重要な要素を中心とした解決策を立案し、地域全体の目標となる将来像と行動計画を構築する手法を開発する。猪苗代湖流域を対象として、急激な環境変化に直面し、ラムサール条約登録を契機に保全と活用の機運が高く、先行的な脱炭素への行動がある一方、課題間・主体間のトレードオフ・コンフリクトもある同地域において、開発した手法の実践例を示す。

目標
(1)地域において環境を中心とした持続可能性に係る複数課題の構造化・可視化と焦点分析の手法を開発する
(2)水域を含む地域において、気候変動影響を含む、環境・経済・社会の将来指標と取組効果を推計・推定する手法を開発する
(3)開発した手法を利用し、モデル地域において地域の関係者間での協議を行い、地域全体の目標となる将来像を構築し、目標達成に向けた取組の体系を提案する

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

(1)多面的構造評価手法の開発
◆構造化・可視化手法の開発
地域において、環境課題を中心とした持続可能性に関して、現地調査、ヒアリング、文献調査を活用し、地域主体、外部環境、環境の状態(脱炭素、適応、循環、生態系サービス等)、経済・社会の状態、それらの課題、現行の取組などを構造化・可視化して、要素のネットワークの全体像を作図する技法を開発する。
◆戦略的焦点分析の開発
構造化された全体像から目標間のシナジー・トレードオフと主体ニーズ間のコンフリクトを特定し、その地域において多くの課題と関連して影響・効果の大きい結節点を特定する手法(これを本申請では「戦略的焦点分析」と呼ぶ。)を開発する。
(2)将来指標と取組効果の定量化
モデル地域を対象として、地域の経済・エネルギー・土地利用を分析する地域統合評価モデル(既開発)に加え、水循環モデル(陸域。猪苗代湖内のモデルは既開発)を新たに開発し、これらの地域モデル群の連携と、必要に応じた現地調査(環境DNA解析等)を組み合わせて、戦略的焦点を中心とした地域の将来指標を推計する手法を開発する。その際、地域環境保全・脱炭素等の環境の取組、これらと関連する観光・一次産業・地域エネルギー等の事業の効果も推計可能な手法とする。
(3)猪苗代湖流域での協働手法による計画立案
開発した構造化・可視化手法、戦略的焦点分析、将来指標の推計手法を活用する。地域の関係主体間で現状認識と課題を共有し、多主体間で共有しうる目標としての地域の将来像を描写し、戦略的焦点を中心として関係主体が協力可能な体系的な取組(協働計画)の立案手法を開発する。これをモデル地域の猪苗代湖流域において実践し、福島県及び流域の市町村、地域住民、関係の事業者・諸団体と協議・協力して、行動計画を提案する。

今年度の研究概要

(1)多面的構造評価手法の開発
構造化・可視化手法を開発する。地域の環境、主体、活動、目標などの要素(ノード)とノード間の相互関係を表現するネットワーク図として表現する。各ノードの定義や接続の種類などの作図ルール・技法を開発し、典型的な例を複数作成する。
(2)将来指標と取組効果の定量化
対象地域において陸域の水循環モデルを開発する。既開発の湖内、人口、経済、エネルギー、土地利用等の各モデルとの接続の方法を検討する。環境DNA解析を活用した生物調査に着手する。
(3)猪苗代湖流域での協働手法による計画立案
福島県、流域市町村、関係の各種団体等と協力体制を構築し、ワークショップ形式で構造化・可視化手法を実践する。

外部との連携

福島県環境創造センター、株式会社sustainalife

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