脆弱な北方林エコトーンの樹木へ気候変動が及ぼす影響は撹乱により深刻化するのか(令和 8年度)Will the disturbace modify the effect of climate change on trees in a temperate-boreal forest ecotone
- 研究課題コード
- 2426CD026
- 開始/終了年度
- 2024~2026年
- キーワード(日本語)
- 冬の気候変動,エコトーン,撹乱
- キーワード(英語)
- Winter climate change,Ecotone,Disturbance
課題代表者
小出 大
- 気候変動適応センター
気候変動影響観測研究室 - 主任研究員
- 環境学博士
- 生物学,林学,理学
研究概要
北方林から温帯林への移行帯では、気候変動にともなって台風による風倒や豪雨による山腹崩壊が増加している。しかし、撹乱跡地に更新する樹木が気候変動により受ける影響を実証した研究は世界的にも極めて限られる。撹乱後の樹木の更新という森林の維持に不可欠なプロセスが気候変動により受ける影響を解明することは、自然災害が増え、伐採活動が続いていく中で、森林植生とそれに密接に関係する木材生産機能の将来を予測する上で不可欠である。本研究では、撹乱跡地(倒木、山腹崩壊、皆伐、択伐跡地)に生育する常緑針葉樹と落葉広葉樹へ気候変動が及ぼす影響の差異を、野外操作実験と長期観測データ解析という2つのアプローチにより解明する。野外操作実験では、倒木や山腹崩壊が起きた場所、皆伐や択伐が行われた場所とそれらの撹乱が起きていない対照区に北海道の主要6樹種の実生を植栽し、冬の気候変動を模倣する除雪処理が及ぼす影響を評価する。長期観測データ解析では、北海道大学研究林が所有する育林記録と航空写真データを整備し、気候変動が顕在化する40年前から現在にかけての伐採跡地に更新した樹木の個体数や成長の変遷を検証する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
【令和6年度】気候変動が顕在化していなかった1980年前後から、顕在化している2010年前後にかけて、北海道大学中川研究林内の異なる年に伐採が行われた10箇所の森林において、伐採後5年、10年間に測定された樹木の更新、成長データを整備する。また、各時期に伐採が行われていなかった森林における樹木の更新、成長データも整備する。1978年から1990年まではデータが紙媒体へ記録されているので、本研究費で雇用予定の短期支援員が電子データに変換する。各サイトの過去と現在の気象条件についても、最寄りのアメダスデータ、研究林独自の気象観測データ、標高などから収集、整備する。
【令和7年度】初年度に整備したデータベースを活用し、伐採跡地と非撹乱跡地の間で、30年間で樹木の更新・生存率がどのように変化しているかを比較する。また、同地で伐採直後および10年後に撮影された航空写真を購入し、Structure from Motion(SfM)法により樹木の三次元データを構築して、更新個体数のみならず樹高成長の推定を試みる。一連の解析では、特に常緑針葉樹と落葉広葉樹の間での経時変化の差異に注目する。
【令和8年度】データ解析の詰めの部分を実施し、論文の執筆と学会発表を行う。
今年度の研究概要
航空写真からの樹高成長量の推定について、詰めの作業を行うとともに、データ提供が遅れていた樹木の更新・成長データについても本解析を行っていく。また得られた成果を論文化する。
外部との連携
本研究は北海道大学の小林真准教授が研究代表者となっており、北海道大学の中村誠宏教授、関宰准教授と共に研究分担者として参画している。
関連する研究課題
- 27634 : PJ1_適応策の効果を組み込んだ気候変動影響予測に関する研究
- 27635 : PJ2_気候変動適応戦略の統合化・深化に関する研究
- : 気候変動適応分野に関するPJ以外の研究