残留抗微生物剤の水生態系への影響評価(令和 8年度)Impact assessment of antimicrobial residues on the aquatic ecosystem
- 予算区分
- SII-12-3
- 研究課題コード
- 2527BA010
- 開始/終了年度
- 2025~2027年
- キーワード(日本語)
- 抗微生物剤,薬剤耐性,生態リスク,高感受性種
- キーワード(英語)
- antimicrobials,antimicrobial resistance,ecological risk,highly sensitive species
課題代表者
山本 裕史
- 環境リスク・健康領域
- 領域長
- Ph.D.
- 化学,生物学,土木工学
研究概要
環境省が実施する化学物質の「生態リスク初期評価」の結果、生態リスクが比較的高いとされたマクロライド系やサルファ剤のほか、薬剤耐性との関連性が深く国内での使用・排出実態から生態リスクが懸念される抗微生物剤について、テーマ1および2と協議などに基づき対象物質を選定する。これらについて、一般的に用いられる標準的な慢性毒性短期試験法に加え、抗微生物剤に特異的に顕著な影響が懸念されるラン藻や珪藻などの藻類、原生動物や微生物などを用いた生態毒性試験を実施する。また、これらの抗微生物剤の発生源からの排出動態と,公共用水域における拡散実態を把握するための手法開発を行う。環境中予測濃度と毒性値から算出した予測無影響濃度を組み合わせて生態リスクを評価し、水域への負荷ならびに生態影響が大きい残留抗微生物剤の特定を行う。
国立環境研究所が実施し、生態毒性試験や生態リスク評価を行うサブテーマ1では、多様な生物への影響を評価するため、魚類、甲殻類、藻類などの3生物種の慢性毒性に加え、高感受性を示すと考えられるラン藻に加えて原生動物や微生物などの標準的試験法が確立されていない試験法を開発ないし改良して評価を行う。試験で得られた生態毒性試験データは、種の感受性分布などの手法を使って予測無影響濃度などを算出する。この値をサブテーマ2の検出濃度や予測濃度と組み合わせ、詳細で高感受性種を考慮した生態リスク評価を実施する。
国立医薬品食品衛生研究所が実施し、排出量推計手法の開発を行うサブテーマ2では、対象物質の個別あるいは一斉分析法を開発するとともにし、病院排水や下水、畜産排水などが流れ込む水域を選定して水試料を採取し、固相抽出等の前処理後,液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC/MS/MS)等を用いて定量する。検出された抗微生物剤の種類・検出率および濃度のデータを基に、下水道や医療機関、畜産施設・農地からの点源・非点源排出データを活用し、主要な発生源からの 排出原単位 (kg/day)等を推定する。また産総研−水系暴露解析モデルAIST-SHANEL等を用いて、より高精度な負荷量の推定を行う。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
生態リスクが比較的高いとされたマクロライド系抗生物質やサルファ剤のほか、薬剤耐性との関連性が深く国内での使用・排出実態から生態リスクが懸念される抗微生物剤について、テーマ1および2と協議して対象物質を選定する。これらの物質について、ラン藻や珪藻、原生動物などの高感受性を示すと考えられる生物も含めた多様な生物種による生態影響試験を実施し、無影響濃度などの毒性値を求める。また、これらの値を利用して、10物質程度について予測無影響濃度を算出する。また、対象とした抗微生物剤について、個別ないし一斉分析手法を開発して、病院排水や下水、畜産排水などが流れ込む水域での濃度測定を実施するとともに、排出原単位を推定することを目指す。さらに、環境中の検出濃度や予測濃度と予測無影響濃度などを比較することで生態リスク評価を実施し、水域への負荷ならびに生態影響が大きい残留抗微生物剤の特定を行う。
今年度の研究概要
サブテーマ1では
引き続き、信頼できる慢性データがない物質について藻類・ミジンコ・魚類の慢性毒性短期試験を実施してNOECを算出する。
他の高感受性種であるラン藻や微生物、原生動物等の試験系の整備・検証を完成させ、試験を順次実施する。
サブテーマ2では
水試料の採取・分析を継続して行い、検出される抗微生物剤の種類・検出率・濃度のデータを取得する。
河川流量や、テーマ2で取得する下水道・浄化槽、医療機関、畜産施設・農地からの点源・非点源排出データを活用し、主要な発生源(病院、下水道、畜産等)からの排出原単位 (kg/day)等を推定する。
産総研−水系暴露解析モデルAIST-SHANEL等を用いて、より高精度な負荷量の推定を行う。
外部との連携
国立医薬品食品衛生研究所、東京大学