水銀の地球規模動態とリスク管理に関する研究プロジェクト(平成 31年度)
Study on Global Mercury Dynamics and Risk Management of Mercury

予算区分
AA 課題解決型
研究課題コード
1820AA001
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
水銀,地球規模動態,化学形態,水圏生態系,全球多媒体モデル,水銀とPOPsの影響,世界マテリアルフロー,排出推定
キーワード(英語)
mercury, global fate and transport, chemical speciation, aquatic ecosystem, global multimedia fat emodel, health effect of mercury and POPs, global material flow, emission estimation

課題代表者

鈴木 規之

担当者

研究概要

水銀に関する水俣条約の締結を受けて、地球規模における水銀管理を支える科学的知見の構築が急務である。本研究では、自然界における水銀の地球規模の動態を観測およびモデルの双方の取り組みによって明らかにするとともに、人間活動に伴う水銀の国際マテリアルフローと排出推定に関する研究、また、別の地球規模汚染物質であるPOPs等との複合影響を視野に入れた健康影響に関する研究に取り組み、地球規模での水銀のリスク管理の基礎となる科学的知見の提供を目指す。

今年度の研究概要

課題1:計測および実験的手法による水銀の化学動態の研究
異なる水環境で採取されたプランクトン試料の形態別水銀分析を推進し、実態把握を図る。また、その濃度の変動要因を把握するために水質データ等との相互比較を実施する。これらに加えて、水環境中で起こる様々な生物地球化学的・物理化学的な反応によるメチル水銀の生成と消失速度を計測するために、水銀の安定同位体を用いた速度定数計測手法に関する情報収集を行い、計測手法の開発を検討する。
課題2:水銀の全球多媒体動態の解析とモデル化に関する研究
水銀条約の有効性評価に向けた将来予測を行うために、気候予測データなどの入力データの整備を進める。無機水銀のプランクトンへの移行に関するモデル改訂を進める。主要河川からの水銀流出量に関する全球データを整理し、これを用いたシミュレーションを実施する。また、引き続き、臭素化合物による大気中の形態変化と、陸域炭素循環モデルをベースにした陸域動態モデルの全球モデルへの導入を進める。
課題3:POPs等との複合影響を視野に入れた水銀の健康影響に関する研究(柳澤、岩井)
メチル水銀の曝露は、主に魚の摂取を介しておこるが、魚にはメチル水銀のみならず残留性有機汚染物質(POPs)も蓄積していることから、これら化学物質の複合曝露による健康影響も懸念される。今年度は、1) 昨年度に引き続き、妊娠マウスに対するメチル水銀とPCBsの複合曝露による仔獣の免疫系への影響について血液学的、病理組織学的手法を用いて検討する。加えて、2) 魚摂取を介したメチル水銀に関するヒトでのリスクコミュニケーションに関して、水銀などの摂取等に関する認知度調査を開始する。
課題4:水銀の地球規模でのマテリアルフロー解析と排出推定に関する研究
マテリアルフローについては,水銀を含有する商品の国際貿易データの輸入国と輸出国との情報の不一致に着目し,主要商品の貿易量を見直し,国際間の水銀移動量推計の妥当性を高める。一方,排出推定では昨年度得られた結果を用い、PRTR届出排出量が実際の環境排出量をどの程度反映しているかを解析する。
課題5:化学動態の実験的研究
環境中、特に湖沼や海洋などの水圏環境での水銀のメチル化は、メチル化遺伝子であるhgcABを持つ嫌気性細菌による寄与が大きい。しかし微生物は、環境によって異なる群集を形成しており、水圏環境中のメチル水銀量と微生物群集との関連性を調べた知見は少ない。そこで本課題では、ゲノム解析によりいくつかの海域における環境中の微生物群集の系統解析を行い、各種水質パラメータとメチル水銀量との相関を調べることで、微生物による水銀のメチル化に対する寄与の程度や影響評価を試みる。
課題6:水銀パッシブサンプラに関する検討
 経済的かつ電源を必要としないパッシブサンプラーの活用により、リモートサイトを含む広範かつ長期のバックグラウンドモニタリング、密なサンプリングによる点源の影響調査、様々な生活環境にある個々人の曝露評価が可能となると期待される。本課題では既存の知見を調査・収集し、水銀パッシブサンプリングの導入に向けた課題の抽出を行う。

外部との連携

環境省国立水俣病総合研究センター
鹿児島大学
東京大学大気海洋研究所

備考

環境リスク研究分野
健康環境研究分野
環境計測研究分野
資源循環・廃棄物研究分野