川崎病と屋外の環境との関連に関する疫学研究を整理
スコーピングレビューで世界の知見を統合
背景
川崎病は小児に発症する急性血管炎で、病因は明確ではありませんが、環境因子が誘因となる可能性が指摘されています。川崎病のり患率は東アジア、特に日本・韓国・台湾で高く、研究もこれらの地域に集中してきました。本スコーピングレビューでは、屋外の環境要因と川崎病り患との関連に関する疫学的エビデンスを整理し、既存研究の知見を概観するとともに、川崎病に対する環境要因の関与をよりよく理解するために、今後どのような研究が必要かを示すことを目的としました。
主な結果 (図 1)
2024年12月までに刊行された文献を対象とした系統的検索により、適格研究 32件が同定されました。
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最も多く検討されたばく露:気象要因および大気汚染物質が、屋外の環境として最も頻繁に検討されていました。
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気象要因のエビデンスは一様ではない:気象要因に関する研究の約半数で川崎病との統計的な関係が報告され、一部では気温の影響や、風による空気中浮遊物質の移動との関与が示唆されました。
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大気汚染はばく露期間により傾向が異なる:短期の大気汚染ばく露に関する結果は一貫しませんでした。一方で、粒子状物質の長期ばく露または胎児期(妊娠期)ばく露については、ばく露水準が高い地域ほど川崎病のり患が高いと報告する研究がより一貫してみられました。
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空気中生物由来因子:研究数は少ないものの、バイオエアロゾル、花粉、ダストに付着する微生物に関する研究では、これらの空気中ばく露が高いときに川崎病のり患が高いと報告する研究がより一貫してみられました。
研究間で結果が異なる理由
研究数は増えているものの、結果は必ずしも一致していません。その背景には、ばく露の測定方法(例:日別と月別、平均値と最小値/最大値)、統計解析手法、調整した要因、データの時間
的・空間的分解能、ならびに地域による気候や人口特性など、研究手法や地域の状況の違いが影響している可能性があります。
今後の展望
本レビューは、川崎病の病因を多因子的に捉える視点を支持する一方で、研究手法の異質性が研究間の比較可能性を制限している点に注意を促しています。著者らは、ばく露指標とアウトカム定義を調和し標準化された国際共同研究、ならびに遺伝要因と環境要因の相互作用(遺伝×環境)を検証し、空気中浮遊物質の長距離大気輸送の可能性を検討できる統合的アプローチの必要性を提言しています。
論文情報
掲載誌: The Lancet Regional Health – Western Pacific
論文名: Kawasaki disease and outdoor environmental stressors: a scoping review
著者名: Lina Madaniyazi, Jefferson Alpizar, Chau-Ren Jung, Whanhee Lee, Xerxes Seposo, Ryusuke Ae, Eun-Hee Ha, Ho Kim, Masahiro Hashizume, Shoji F. Nakayama, Aurelio Tobias.
掲載日:2026年1月7日
DOI:10.1016/j.lanwpc.2025.101791

図 1 川崎病と関連する環境ストレス要因のエビデンスマップ。棒グラフ内の数字は、各ばく露群で同定された研究数を示す。
発表者
問い合わせ先
【本リリースに関するお問い合わせ先】
長崎大学 研究推進部 感染症研究支援企画課 片山 史子(かたやま ふみこ)
E-mail:soumu_nekken(末尾に“@ml.nagasaki-u.ac.jp”をつけてください)
北海道大学 社会共創部 広報課
E-mail:jp-press(末尾に“@general.hokudai.ac.jp”をつけてください)
学校法人自治医科大学 大学事務部 研究推進課 研究支援係
E-mail:shien(末尾に“@jichi.ac.jp”をつけてください)
国立環境研究所(NIES)企画部広報対話室
E-mail:kouhou0(末尾に“@nies.go.jp“をつけてください)
東京大学大学院 医学系研究科 総務チーム
E-mail アドレス:ishomu(末尾に“@m.u-tokyo.ac.jp”をつけてください)
