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日本に自生するセイヨウナタネ(Brassica napus L.)の遺伝的多様性と集団構造


論文情報
タイトル
Genetic diversity and population structure of feral rapeseed (Brassica napus L.) in Japan
日本に自生するセイヨウナタネ(Brassica napus L.)の遺伝的多様性と集団構造
著者       
Chen, R., Shimono, A., Aono, M., Nakajima, N., Ohsawa, R., Yoshioka, Y.
Chen Ruikun, 下野綾子、青野光子中嶋信美、大澤良、吉岡洋輔
*下線で示した著者が国立環境研究所所属
掲載雑誌       
PLoS ONE
DOI: 10.1371/journal.pone.0227990       
受理日など       
2020年1月3日 受理、2020年1月16日掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

セイヨウナタネは食料油の原料として世界中で利用されている非常に重要な作物です。日本でも100年以上前から栽培・輸入されていて、農地以外の野外に自生する集団が形成されています。本研究では、日本各地に自生するセイヨウナタネ537個体(遺伝子組換えナタネ130個体を含む)の集団の遺伝的多様性を明らかにし、自生ナタネの起源を推定して、その管理改善に役立てることを目的としました。SSR(単純反復配列)マーカーを用いた解析により、537個体は8個の遺伝的クラスターに分かれ、地理的に同一の集団内における個体間多様性が高いことが示されました(図)。自生個体には起源不明の個体もありましたが、多くは農業生物資源ジーンバンク(NARO Genebank)に登録されたセイヨウナタネの近縁でした。また、遺伝子組換えナタネについては、2つの異なる起源が示唆されました。これらの結果から、日本の自生セイヨウナタネは栽培種の農地からの逸脱、及び輸入ナタネのこぼれおちが起源となっていると考えられました。

雲津大橋付近河川敷(三重県松坂市)でのナタネ調査の様子

写真:雲津大橋付近河川敷(三重県松坂市)でのナタネ調査の様子(大東正巳撮影)

SSRマーカー30個を用いた解析により示されたセイヨウナタネ537個体の集団構造。

図:SSRマーカー30個を用いた解析により示されたセイヨウナタネ537個体の集団構造
A:採集場所により分けた地理的な集団。B:STRUCTURE解析により分けられた8個のクラスター。
GM:genetically modified(遺伝子組換え)。Q-value:GM個体がそのクラスターに含まれる確からしさ


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