リモートセンシングによる植生判読は効率的かつ現場への人為的影響の少ない調査方法として有効な手法です。しかし、これまでの技術では比較的広範囲の対象地における大まかな植生の把握が主であり、高解像度の撮影システムはあっても、大型で人による運搬が難しかったり、位置情報の精度が低いものでした。
そこで本研究では、より軽量かつ細かいスケールで判読できるリモートセンシング技術の開発のため、ラジコンヘリコプターによる小型・軽量・高解像度のリモートセンシングシステムを、栃木県渡良瀬遊水地の湿地性草本群落に適用しました。
その結果、1ピクセルが1cmと高い空間解像度の画像を得ることができ、ヨシ(Phragmites australis)とオギ(Miscanthus
sacchariflorus)を判読できました。また、圃場実験での検証の結果、位置情報も高い精度で得られていました(精度1m以内)。このような高解像度システムは、高層湿原のような踏圧に弱い生態系のモニタリング等への応用が期待されます。
We applied a high-resolution remote-sensing system based on a lightweight (1.6 kg) radio-controlled helicopter (the “Falcon-PARS system”) to wetland vegetation. We obtained images with a spatial resolution of 1 cm and confirmed that we could identify major two herbaceous species from the images. Such a high-resolution remote-sensing system can be used as a non-destructive alternative to ground surveys.
撮影に用いたリモートセンシングシステム
小型ヘリコプター(約85×80×15cm)の先端にコンパクトデジタルカメラが搭載されている。
これを調査地上空に飛ばして植生を撮影した。
得られた画像の一部(高さ30mから撮影)
左下部分の黄緑色の細い葉がオギ、右上の青緑色がヨシ。