国立研究開発法人 国立環境研究所
環境リスク・健康領域 Health and Environmental Risk Division
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旧組織アーカイブ:第4期中長期計画 研究分野

環境リスク研究分野

 環境リスクの防止を支える科学を確立し、安全確保社会の達成に貢献

環境リスク研究分野では生態毒性試験の高度化と化学物質の新たな生態影響評価体系の開発、化学物質の環境経由の曝露・影響実態の把握手法の開発、フィールドおよび実験研究による生態系における曝露・影響実態の解明と対策、また化学物質等のリスク管理の体系化と環境動態や曝露評価に関する研究など一連の研究を人の健康に関する環境健康研究分野との共同で進め、リスク評価科学としての応用を実施しています。
生態毒性研究室では、生態毒性試験の高度化と化学物質の新たな生態影響評価体系の確立を目指して、分子~生体レベルでの試験系やモデルの開発、河川等における生態系へのインパクト解明を目指す評価体系の開発を行います。曝露影響計測研究室では、化学物質の環境経由の曝露・影響実態の把握手法の開発を目指して、変異原性等の健康影響を有する物質、受容体結合活性等の生態影響を有する物質及び生物由来の高分子量分子等を対象とした検出手法の開発、曝露評価及び影響との因果関係に関する研究などを行います。生態系影響評価研究室では、閉鎖性内湾などの沿岸生態系でのフィールド研究および実験研究等により生態系における曝露・影響実態の解明を進め、生物相の回復に向けた対策の提案を行います。リスク管理戦略研究室では、化学物質等の環境動態モデルおよび排出モデルの開発、曝露評価およびリスク評価、環境かく乱要因による生態系への影響評価、リスク管理の体系化等に関する研究を行います。

リスク分野の研究内容を示した図

 研究施設

環境リスク研究棟:環境リスクに関する調査・研究の中枢を担う施設として、生態影響評価、健康影響評価、曝露評価の研究を実施するとともに、関連する情報を収集・解析し、発信する研究施設です。1階は水生生物の生態影響評価研究エリア、2階のエリアには、化学物質を計測するための機器(GC/MS,LC/MSなど)や、共焦点レーザー顕微鏡が設置され、また、環境質のin vitroバイオアッセイ手法による評価研究が行われています。4階は環境リスクに関する情報の収集・解析・評価を行うエリアと、有害物質のヒトへの健康リスクを実験的に解明するための動物実験エリアからなっています。

環境リスク研究棟:写真

環境健康研究分野

 環境要因による健康への悪影響の予防、健康リスクの低減や、将来にわたる健康の維持に貢献

環境健康研究分野では環境要因(化学物質や大気汚染等環境汚染物質、高温環境など)による健康影響の低減と予見・未然防止に貢献するために、環境要因による健康影響や発現機構の解明に関する実験的研究、並びに、環境が健康におよぼす影響の同定と要因の究明に関する疫学研究を実施しています。

健康分野の研究内容を示した写真(培養細胞とナノ粒子曝露実験装置)

病態分子解析研究室では、環境要因が免疫、代謝・内分泌疾患等の病態に与える影響を評価するとともに、生体システムの相互作用や臓器間・細胞間クロストークの解析、エピジェネティック変化等のゲノム解析を行い、健康に悪影響を及ぼす分子メカニズムの解明に向けた研究に取り組んでいます。生体影響評価研究室では、環境要因の脳神経系等、生体機能への影響検出・評価法の開発および影響評価を行うことにより、有害環境要因を同定し、環境要因による健康への悪影響の予防・低減に貢献することを目指しています。統合化健康リスク研究室では、ナノマテリアルなどの新規素材も含め、化学的あるいは物理的性状の異なる物質に対し、神経毒性、免疫毒性、生殖発生毒性、遺伝毒性、あるいは吸入毒性等の有害物質の影響指標の研究を行います。曝露動態研究室では、環境要因への生涯曝露量(母胎内から一生の間に曝露される量)を研究しています。特に、化学物質曝露後の体内動態に着目して、疫学研究、毒性学研究と共同し、健康影響評価手法を開発しています。環境疫学研究室では、環境要因と健康との関連性を明らかにするための疫学調査・研究を実施し、健康影響評価及び健康被害予防のための政策に資する知見を提供することを目指しています。

健康分野の研究内容を示した図

 研究施設

動物実験棟:大気や水や食品等に含まれる環境汚染物質が人体に与える影響を調べるため、実験動物を使った研究が行われています。環境中に存在する汚染物質が、人間に起きているような病気を現実に引き起こすのかどうか、またそのリスクはどうか等について、動物個体から組織や培養細胞を使う手法で実験しています。
ナノ粒子健康影響実験施設:自動車から排出される粒子状物質に起因する大気汚染が都市部を中心に依然厳しい状況にあります。特にディーゼル車の排ガスに含まれる超微小粒子(いわゆるナノ粒子)による健康影響が懸念されており、この分野の影響研究をさらに進める必要があります。ナノ粒子健康影響実験施設は、最新の曝露装置を備えた最高レベルの動物実験施設として従来の動物実験棟の一部を撤去し新設しました。

ナノ粒子健康影響実験施設と動物実験棟:写真


環境リスク・健康領域

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