国立研究開発法人 国立環境研究所
環境リスク・健康領域 Health and Environmental Risk Division
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包括環境リスク研究プログラムComprehensive Environmental Risk Research Program

化学物質等に起因する健康・⽣態リスクの包括的評価・管理研究プログラム

化学物質等の包括的なリスク評価・管理の推進に係る研究に取り組みます。具体的には、⼈間活動に起因する化学物質の⼤部分を評価・管理するため、対象物質を製造・使⽤されている全懸念化学物質に広げることを⽬指すとともに、脆弱な集団や⽣活史の考慮、包括的計測・数理モデル群の⾼度化等により、これまで定量化が困難であった影響・リスクの評価を⾏います。
これらの取組により、包括的な健康リスク指標及び⽣態リスク指標の構築に貢献するとともに、リスク評価に関する事業等を通じて環境省等が実施する化学物質等の汚染要因の管理⽅策の策定・改正に貢献します。

「包括環境リスク研究プログラム」ホームページ

国立環境研究所 研究計画(包括環境リスク研究プログラム)

包括環境リスク研究プログラムの概要図

包括環境リスク研究プログラムの5つのプロジェクト

包括環境リスク研究プログラムでは、次の5つのプロジェクトに取り組みます。

PJ1 健康有害性プロジェクト

実環境および脆弱性を考慮した健康影響の有害性評価に関する研究

PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
疾患(免疫疾患、代謝疾患、発達障害等)や⽣殖、将来世代への影響をエンドポイントとした化学物質の健康有害性を評価

化学物質の健康影響は、曝露量や感受性の違いにより異なりますが、実社会における影響を把握するためには知⾒が不⼗分であり、未解明な点が多く残されています。健康有害性プロジェクトでは、化学物質をはじめとする環境要因に起因する⽣涯・将来世代の健康影響について、実環境や脆弱性を考慮した有害性評価を⾏い、化学物質曝露と疾患等への影響との関係を明らかにするとともに、メカニズムに基づく影響指標を同定し、新たな評価・予測法を提案します。これにより、包括健康リスク指標の開発に貢献します。

国立環境研究所 研究計画(プロジェクト1)

PJ2 生態系有害性プロジェクト

脆弱性を考慮した生態系影響の有害性評価と要因解析に関する研究

化学物質等の多種多様な環境かく乱による⽣態系への影響が確認されていますが、これまで、その要因解析は不⼗分でした。⽣態系有害性プロジェクトでは、フィールド調査、室内実験、数理モデル化のグループが連携し、要因解析や現実的な管理策の検討を⾏います。特に影響を受けやすい⽣物種や⽣活史段階といった脆弱性を考慮した⽣態系影響の有害性評価や、複合的な要因の解析を実施するとともに、包括⽣態リスク指標の開発に貢献します。

国立環境研究所 研究計画(プロジェクト2)

PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
福島海域調査︓福島県北部、中部及び南部の⽔深30 m 以浅の9 定点で試験底曳き・環境調査を⾏い、放射性核種濃度などの経時変化と⿂介類群集の質的及び量的変化を解析
PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
化学物質の種の感受性分布を調べることで、⾼感受性の⽣物種への⽣態影響を評価

PJ3 曝露計測プロジェクト

全懸念化学物質の多重・複合曝露の把握を目指した包括的計測手法の開発に関する研究

PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
トリプル四重極型・⾼分解能質量分析計及びマイクロフローシステム等の活⽤により、主に有機汚染物質の網羅的・包括的な計測⼿法を開発

化学物質の多重・複合曝露による懸念の把握対象を拡⼤することを⽬指して、少量多品種化問題への対応も⾒据えた包括的な計測⼿法を開発します。この⽬的に向け、⽣理活性に寄与する基本⾻格が共通する物質の包括分析法及びデータ解析⼿法の開発と改良、親⽔性物質分析法の⾼度化と広範囲化を⾏うとともに、従来の計測⼿法では測定が困難であった物質を特定し、その試料採取・前処理・機器測定法の開発と適⽤性評価に取り組み、環境中化学物質の実測可能な範囲の拡⼤に貢献します。

国立環境研究所 研究計画(プロジェクト3)

PJ4 環境動態プロジェクト

全懸念化学物質の環境動態の把握を目指した数理モデル的手法の開発に関する研究

全懸念化学物質の環境動態を把握するための数理モデル的⼿法を開発することで、ヒト・⽣態系への曝露量の推計に貢献します。これまで開発してきた環境動態モデルを⼟台にして、既存の⼿法では把握が困難だった物質群に対しても適⽤可能な⼿法を構築していきます。具体的には、同⼀⽤途物質群を包括的に捉える新たな⼿法で、情報が限られた物質についても環境排出量を推計します。また、環境中での挙動が明らかになっていないイオン性化学物質などにも適⽤可能な⽣物移⾏・⽣物蓄積プロセスの把握⼿法を開発します。

国立環境研究所 研究計画(プロジェクト4)

PJ1健康有害性プロジェクトの概要図PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
全球モデルFATE による⼤気中の汚染物質濃度予測結果と地域モデルG-CIEMSによる全国河川⽔中の汚染物質濃度予測結果

PJ5 包括リスク指標プロジェクト

包括健康リスク指標と包括生態リスク指標の開発に関する研究

PJ1健康有害性プロジェクトの概要図
包括環境リスク評価に関する概念図
化学物質のグループ化・包括化、及び様々な影響を考慮した有害性指標の包括化という⼆つのアプローチを基に包括的リスク評価⼿法を提案

現在の定量的環境リスク評価では枠組みに⼊っていない要素(定量評価困難な毒性影響、脆弱性に対する考慮、混合物・分解物等の環境動態、類似物質群全体の評価等)を考慮した、包括的な健康・⽣態リスク評価指標を提案します。各PJより提案された科学的知⾒と情報を取りまとめて、包括健康リスク指標と包括⽣態リスク指標を例⽰します。成果を環境リスク評価事業を通じて国内の化学物質リスク評価管理や、国際社会における指標構築に貢献します。

国立環境研究所 研究計画(プロジェクト5)



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