G-CIEMS目次


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G-CIEMSの概要

G-CIEMSは、下水処理場への移動や下水処理プロセスをモデル内で考慮するための改良および関連データの整備を行った新しいバージョン(Ver.1.2)を公開しました。新しい実行プログラムでは今まで公開していたバージョン(Ver.0.9)の入力ファイルも計算できます。

一部データ・プログラムにバグ等を見つけたため、修正し、ダウンロードファイルを変更しました。詳細はバージョン履歴をご確認ください。


国立環境研究所のNIESレターふくしまにて、G-CIEMSを用いた研究成果を紹介しました。 2018年6月 「NIESレターふくしま」


国立環境研究所ニュースにて、G-CIEMSを用いた研究成果を紹介しました。 2014年8月 33巻「水田農薬の環境中濃度を予測する」


国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第50号で環境多媒体モデル「G-CIEMS」を紹介しました。 2013年10月発行「環境多媒体モデル − 大気・水・土壌をめぐる有害化学物質の可視化」

G-CIEMS

G-CIEMS(Grid-Catchment Integrated Environmental Modeling System)は、国立環境研究所において新たに開発した詳細な空間分解能を持つGIS多媒体環境動態予測モデルです。環境中に放出された化学物質は、大気、水、土壌、底質などの媒体の間を移動あるいは分配され、大気に放出された物質が粒子に吸着して地表面に沈着したり、河川に排出された物質が揮発して大気に移動したりします。同時に、大気中の物質は風に乗って移動し、河川水中の物質は川の流れに乗って下流へ移動し、また他の流域からの流れと合流して希釈されたりします。

本モデルは、GIS(地理情報システム)データに基づき、このような多媒体間の輸送と、大気、河川等媒体内での輸送との両方を同時に計算して、各地点・各媒体における物質の濃度を推定するモデルです(図1)。


多媒体モデルG-CIEMS

日本全国を対象とした予測計算

G-CIEMS出力例

本モデルは、河道構造等データベース(モデルプログラム等と一緒にダウンロード可能)に基づき、日本全国を大気は約1qまたは約5kmのグリッド地表面は平均9.3km2ほどの小流域河川は平均河道長5.7kmの河道として扱います。モデル内で計算する主な動態過程として

  1. 大気については、大気グリッド間の移動と沈着、分解、地表面との交換などの過程
  2. 河川については、水の流れによる流下と、河川内における分解、粒子状物質との分配、底質への沈降、大気との交換などの過程
  3. 土壌については、小流域から対応する河道への流出、土壌内での分解、地下水への移行、大気との交換などの過程
  4. 底質については、河川や湖沼の水との交換、再浮遊などの過程
  5. 海域については、海域に接続している河口からの流入、海域表面での大気との交換などの過程

を記述しています。大気グリッドごとの大気中の濃度や、河道ごとの河川水中の濃度、小流域における土壌中の濃度、河道ごとの底質中の濃度などを出力します(図2)。また、媒体間のフラックス(物質の移動量)や、環境への排出量も出力します。なお、結果を地図表示する際は、本サイトで公表するシェープファイルと、シェープファイルの属性として結果を紐づけて表示するソフトウェアを利用する必要があります。以前、本サイトで公表していた可視化ツールは最新バージョンへの対応のため修正作業中です。対応後は本サイトで公開する予定です。

モデル入力データ

モデルに対する入力値としては

  1. 大気グリッド、小流域単位での土壌、河道単位での河川それぞれへの化学物質の排出量
  2. 化学物質の物性値
  3. 小流域、河道などの地理データ
  4. 気象、水文等のデータ

などが必要となります。これらの入力値のうち、c、dについては標準的なデータを用意していますが、a、bの排出量物性値については基本的にユーザーが用意する必要があります。

モデルとユーザーインターフェイスの関係

G-CIEMSモデルはメインのモデルプログラムとユーザーインターフェイスから成り立っています。モデルプログラム自体は、Microsoft AccessのMDBファイルから直接データを取得し、MDBファイルにデータを直接出力します。新しいバージョン(G-CIEMSVer.1.2)への変更に伴い、プログラム実行のための簡易的なインターフェイス(GCIEMS_run012.exe)を準備しています。旧バージョン(Ver.0.9)用に作成したユーザーインターフェイスの後継ツールについては現在準備中です。(図3)

G-CIEMSモデルプログラムとユーザーインターフェイス

関連ツール

最新OSや新しいバージョンのデータへ対応が未実施のため関連ツールは公開していません。それらのツールについては現在準備中です。


参考文献