マルチレベルアプローチによる遺伝的多様性の全国評価手法の開発(令和 8年度)Development of a national genetic diversity assessment framework using a multilevel approach
- 予算区分
- 自然共生領域
- 研究課題コード
- 2628BA014
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組,ゲノム解析,環境DNA,生物種分布モデル,経時変化
- キーワード(英語)
- Kunming−Montre Global Biodiversity Framework,genomic analysis,Environmental DNA,Species Distribution Model,Temporal trend
課題代表者
石濱 史子
- 生物多様性領域
生物多様性評価・予測研究室 - 主幹研究員
- 博士(学術)
- 生物学
担当者
- 大沼 学生物多様性領域
研究概要
本課題では、生物多様性条約の昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)で新たに設定された、全ての在来種の遺伝的多様性を保全するという目標の達成状況の評価指標について、2029年6月までの国別報告書最終報告に向け、国内で現状評価を行うとともに、経時変化の評価枠組を構築する。遺伝解析や試料採取に要する労力を鑑み、1.文献や既存の個体数レベルの観測データを活用して、幅広い分類群で代表的な種を対象とした評価を行うマクロな手法、2.反復調査に適した、環境DNAから種内の遺伝的多様性を評価する技術の開発、3.全ゲノム解析による希少種の遺伝的劣化度の評価 、の3レベルの手法を適切に組み合わせることで現実的な評価枠組を構築する。
マクロ評価では、簡易な指標算出手法として、これまでに国際的な共同研究で開発された方法を基盤として、分類群ごとの個体数データ・遺伝的研究の蓄積状況を考慮して現状評価を行う。また、国内の各種モニタリング制度で得られるデータや生態系の多様性を踏まえ、日本での遺伝的多様性の全体的状況を現実的な種数で経時的に評価するための枠組み構築と、代表性を考慮した対象種の選定を行う。
今後、各種モニタリングにおいて環境DNAの活用が進むことを念頭に、種内の遺伝的多様性とKM-GBFの遺伝的多様性に関するヘッドライン指標(Ne500)を環境DNA解析で評価する手法を開発する。
Ne500指標では、大半が有効集団サイズが 500に満たない日本の希少種の遺伝的状態を十分に評価することができない。このような希少種の遺伝的劣化度をゲノム解析によって評価する。
これらを通じて、KM-GBFに対応した日本の国別報告書における遺伝的多様性評価を支援するとともに、国際的にも新規性が高い、環境DNAでNe500指標を評価する手法の開発により、DNAベースの遺伝的多様性モニタリングの実現に寄与する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:政策研究
全体計画
Ne500指標の標準的な方法に従って、既存文献や専門家意見に基づいた現在評価を代表的な分類群を対象に実施する。更に、遺伝的多様性の経時変化評価の手法として、国内で行われている既存の個体数モニタリング調査や、短期的な更新が行われる土地利用図を活用した分布推定など、遺伝的多様性評価を目的としてはいない既存の観測枠組みを活用して、マクロに評価する枠組みを構築する。
環境DNA解析により、種内・集団内の遺伝的多様性をモニタリングする技術を開発する。また、環境DNA解析技術を活用して、Ne500指標の算出に応用する方法を開発する。
希少鳥類を対象として、ゲノム解析により遺伝的劣化状況を評価し、遺伝的多様性保全のための優先順位付けする手法を確立する。
これらの3つのレベルのアプローチを適切に組み合わせることにより、国内での遺伝的多様性の現状評価を実施するとともに、モニタリングを可能とする枠組みを構築する。
今年度の研究概要
サブテーマ1では、生態情報・遺伝構造・有効集団サイズに関する既往文献の収集と代表種候補の抽出(植物、鳥類、魚類、チョウ、水生昆虫、甲虫、哺乳類、両生類・爬虫類等)を行い、各分類群の専門家との協働によりNe500指標と分化集団維持指標の算出を試行する。また、植物普通種の広域分布推定に基づいたNe500指標経時変化評価手法の開発、鳥類個体数トレンドデータと既存文献情報との連結手法の検討を行う。
外部との連携
東北大学、京都大学、信州大学、横浜国立大学、日本大学
関連する研究課題
- : 自然共生分野に関するPJ以外の研究
- 27656 : 生物多様性領域(イ:政策対応研究)