「代替困難な動物毒性試験」の課題解決を目指すRefined In Vivo 研究の基盤技術の確立(令和 8年度)
Development of a Refined In Vivo Platform for Advanced Animal Toxicity Testing

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
2627AN002
開始/終了年度
2026~2027年
キーワード(日本語)
refined in vivo
キーワード(英語)
refined in vivo

課題代表者

ベナー 聖子

  • 環境リスク・健康領域
    曝露健康影響研究室
  • 主任研究員

研究概要

化学物質等の環境要因による健康影響評価では、3Rsの観点から動物実験代替法の開発・導入が進められている一方、複雑な生理機能や慢性・世代間影響など、生体全体での応答を捉える必要がある領域では、依然として動物試験による評価が必要である。こうした代替困難な動物毒性試験については、動物への負担や使用動物数の低減を図りながら、より精緻な生体影響を捉える評価法への高度化が求められる。本研究では、集団飼育下の動物から長期・全自動で多面的な行動情報を取得するとともに、同一個体の血液等から得られる分子情報を組み合わせることで、一個体から得られる情報を最大化する「Refined in vivo」研究基盤を構築する。これにより、従来法では捉えにくかった神経・行動影響を多面的かつ客観的に評価し、動物福祉と科学的妥当性を両立した環境健康影響評価法の確立と、化学物質等のリスク評価の高度化、規制科学への展開を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

動物一個体から得られる情報量の最大化と動物への負担の低減を両立するため、長期・全自動行動モニタリングによる行動情報と、血液等から得られる分子情報を統合したRefined in vivo評価基盤を構築する。

初年度は、行動解析系および分子解析系の基盤整備を行う。全自動ホームケージ内動物行動記録システムを用いて、集団飼育環境下におけるマウスの行動を長期間記録し、概日リズム、活動量、社会性、習慣化、歩行運動等の多面的な行動指標を取得する。また、行動解析を実施した個体からDNA/RNAを取得し、次世代シーケンシング技術等を用いた分子解析手法の確立・最適化を進める。

次年度は、得られた行動情報と分子情報の統合解析を進め、Refined in vivo評価基盤としての有用性を検討する。個体ごとの行動特性や通常の行動パターンからの逸脱と関連する分子指標を探索するとともに、遺伝的多様性を有するWHSマウス等を活用して遺伝的背景と行動・分子情報との関連を解析し、個体差を考慮した神経・行動影響評価への応用可能性を検討する。さらに、得られた行動−分子連関について、霊長類モデル等との比較を通じた種間共通性の検証を進める。

以上により、従来型の短時間・限定的な観察を中心とする評価を補完し、一個体から多面的な行動・分子情報を取得・統合することで、動物福祉に配慮しながら化学物質等による神経・行動影響をより客観的かつ精緻に捉えるためのRefined in vivo評価基盤の構築を目指す。

今年度の研究概要

Refined in vivo評価基盤の構築に向け、行動情報と分子情報を組み合わせた統合解析に着手する。マウスを対象として、全自動行動モニタリングシステムを用いた低ストレス飼育環境下での多面的な行動データを収集し、行動表現型の基礎データセットを構築する。一方、行動解析を実施した個体から核酸分子を取得し、次世代シーケンシング技術等を用いた分子解析手法の確立・最適化を進める。これらの解析には遺伝的多様性を有するWHSマウス等を活用し、行動の個体差と遺伝的背景との関連についても検討する。

外部との連携

国立遺伝学研究所、フェノバンス合同会社、チューリッヒ大学、ノースイースタン大学、浜松医科大学

備考

本研究は、所内公募型提案研究Bを主たる予算として実施するとともに、科学研究費助成事業 基盤研究(C)「ヒト様遺伝的多様性を有するモデル動物群における精神疾患バイオマーカーの探索」(課題番号:26K10526)の研究費を活用し、両研究課題に共通する研究内容を本研究計画のもとで一体的に実施する。

関連する研究課題