再居住に向けた、無居住化地域の野生動物における薬剤耐性菌保有実態と獲得要因の解明(令和 8年度)
Antimicrobial resistance dynamics and factors influencing occurrence in wildlife inhabiting depopulated landscapes: implications for future human resettlement

予算区分
若手研究
研究課題コード
2428CD001
開始/終了年度
2024~2028年
キーワード(日本語)
薬剤耐性,野生動物,無居住化
キーワード(英語)
Antimicrobial resistance,Wildlife,Depopulated landscape

課題代表者

生島 詩織

  • 福島地域協働研究拠点
    環境影響評価研究室
  • 研究員
  • 博士(獣医学)
  • 獣医学,生物学

研究概要

薬剤耐性菌による感染症は、人および動物の健康を脅かす世界的課題である。福島県の避難指示区域では、長期的な無居住化に伴って野生動物が増加し、感染症や薬剤耐性菌の維持・拡散に関与する可能性があるが、その保有実態や分布、関連要因は明らかでない。
本研究では、無居住化地域および周辺地域に生息する野生動物について、薬剤耐性菌の保有状況を把握するとともに、宿主種、個体密度、生息環境等との関連を統計的に解析し、高リスク地域の分布を予測する。また、分離株のゲノム情報を比較し、近縁菌株の個体間伝播と、可動性遺伝因子を介した耐性遺伝子の菌株間伝播を区別して、薬剤耐性菌の維持・拡散機構を明らかにする。
最終的には、重点的に監視すべき地域、動物種および耐性指標を提示し、将来の帰還・再居住を見据えた薬剤耐性菌の蔓延防止策と効率的なモニタリング方法の提案につなげる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

研究期間を通じて、野生動物および環境由来試料の採取、大腸菌の分離、薬剤感受性試験、全ゲノム解析および数理モデルの構築を行い、無居住化地域の野生動物および環境における薬剤耐性菌の動態と、その保有に関わる要因を明らかにする。
1〜3年目には、野生動物および環境由来試料の採取を継続し、抗菌薬添加培地を用いて大腸菌を分離する。得られた分離株について薬剤感受性試験を実施し、薬剤耐性菌の保有状況とその地域的・経時的な変化を把握する。
2〜3年目には、薬剤耐性株を対象として全ゲノム解析を行う。薬剤耐性遺伝子、病原性関連遺伝子および遺伝子型を同定するとともに、SNP解析により菌株間の遺伝的関係を評価し、薬剤耐性菌および耐性遺伝子の維持・拡散機構を明らかにする。
3年目には、野生動物における薬剤耐性菌の分布に関わる要因を解析する。カメラトラップ調査から得られた動物種別の相対生息密度に加え、土地利用、家畜密度等を説明変数とした数理モデルを構築し、耐性菌保有との関連を評価する。
4年目には、これまでに得られた薬剤感受性、ゲノム、野生動物生態および環境に関する情報を統合し、無居住化地域および周辺地域における薬剤耐性菌分布の時系列変化と維持・拡散機構を総括する。最終的に、重点的に監視すべき地域、動物種および指標を整理し、薬剤耐性菌の蔓延防止策ならびに効率的なモニタリング方法を提案する。

今年度の研究概要

今年度は、野生動物および環境由来試料の採取、大腸菌の分離ならびに薬剤感受性試験を継続し、無居住化地域および周辺地域における薬剤耐性菌の保有状況に関するデータを蓄積する。得られた結果について、宿主種、採取地域および採取時期による違いを整理し、薬剤耐性菌分布の経時的変化を評価するための基盤を整備する。
これまでに実施した全ゲノム解析および統計モデル解析については、結果の精査と統合を進める。具体的には、薬剤耐性遺伝子、病原性関連遺伝子、菌株間の遺伝的関係ならびに野生動物の相対生息密度や環境要因と耐性菌保有との関連を総合的に解釈し、無居住化地域における薬剤耐性菌の維持・拡散機構を整理する。

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