ヒ素曝露による筋肉の分化阻害へのDNAメチル基転移酵素の発現変化の寄与(令和 8年度)Contribution of changes in DNA methyltransferase expression to the inhibition of muscle differentiation by arsenite exposure
- 研究課題コード
- 2628AN002
- 開始/終了年度
- 2026~2028年
- キーワード(日本語)
- ヒ素,筋分化,DNAメチル化
- キーワード(英語)
- arsenic,muscle differentiation,DNA methylation
課題代表者
岡村 和幸
- 環境リスク・健康領域
病態分子解析研究室 - 主任研究員
- 博士(環境学)
- 生化学,理学 ,医学
研究概要
これまでの研究でヒ素曝露により発現が減少し、筋肉の分化阻害への関連が疑われたDNAメチル基転移酵素が、真に筋肉の分化に寄与するかを検討する。方法として新たにゲノム編集技術等を用い、安定的に遺伝子発現を抑制した細胞株を樹立する。樹立した細胞を対照群の細胞と比較して筋肉の分化が抑制されるか否か検討する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
ヒ素曝露による深刻な影響のひとつである代謝性疾患の増加に、筋再生の低下を介した筋肉量の低下が関与する可能性が指摘されている(Mondal et al., 2020; Anguiano et al., 2020)。筋再生には筋幹細胞(筋芽細胞)の分化が重要である。これまでに筋芽細胞株C2C12を用いた研究では、ヒ素曝露によって分化が阻害されることが報告されている(Cheikhi et al., 2020)。しかし、そのメカニズムの詳細は不明である。申請者はこれまでに、C2C12細胞においてヒ素曝露による分化阻害がおこる際、DNAメチル基転移酵素であるDnmt3aの遺伝子発現量が抑制されることを明らかにした。しかし、直接Dnmt3aが筋肉の分化阻害に寄与しているかを証明することが出来ていない。標的遺伝子の毒性への直接の寄与を示す方法として遺伝子ノックダウンが知られているが、現在実施可能な技術では、ノックダウン効果を短期間しか維持できないため、筋分化への影響を十分に評価することが出来ない。本研究ではこの課題を克服するため、新たにゲノム編集技術等を用いてDnmt3aの発現を長期的且つ安定的に抑制する細胞を樹立する。発現抑制した細胞において筋肉の分化阻害がおこるかを検討し、ヒ素曝露によって発現が減少するDnmt3aが、真に筋肉の細胞分化に寄与しているか否かを明らかにする。
今年度の研究概要
C2C12細胞において、Dnmt3aのshRNAを含んだレンチウイルスを感染させ、Puromycinによるセレクション後、細胞を回収し、ターゲット遺伝子の発現が抑制出来ているかをReal-time PCR法にて検討する。対照群にはスクランブル配列(どのゲノム配列とも一致しない配列)を持ったshRNAを使用する。また、遺伝子発現の抑制によってタンパク質量が抑制されているかをウエスタンブロット法にて検討する。