航空機用エンジンオイルの氷晶核能および飛行機雲生成に伴う放射強制力の評価(令和 8年度)
Evaluation of Ice Nucleation Activity of Aircraft Lubrication Oil and Radiative Forcing Associated with Contrail Formation

予算区分
26K15137
研究課題コード
2628CD005
開始/終了年度
2026~2028年
キーワード(日本語)
航空機,エンジンオイル,氷晶核能,放射強制力
キーワード(英語)
Aircraft,Lubrication Oil,Ice Nucleation Activity,Radiative Forcing

課題代表者

伏見 暁洋

  • 地球システム領域
    大気・海洋・陸域モニタリング推進室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学

研究概要

飛行機雲は、航空機起源のCO2に匹敵する温室効果を有すると推計されている。飛行機雲は、煤(すす)が核となって生成した氷粒(氷晶)のことと考えられている。申請者らの研究等によって、航空機排出粒子の個数は、煤よりもエンジンオイル(潤滑油)由来の粒子の方が数十倍程度多いことが明らかになってきたが、オイルがどの程度、飛行機雲の生成に関与しているかは知見が乏しい。本研究では、航空機オイルから成る粒子が、氷晶を生成する能力(氷晶核能)がどの程度なのかを雲チェンバーを用いて実験的に評価し、煤や硫酸塩等との相対的な量的関係を示すことを目的とした。実験結果に基づき、煤だけを考慮した場合に比べ、オイル粒子を考慮すると、飛行機雲の温室効果がどの程度増えるのか、化学気候シミュレーションにより定量的に推定する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

【雲生成チェンバー実験】
航空機用エンジンオイルを希釈せず、ガラス製ネブライザーで噴霧し、純オイルからなるオイルミストを生成させる。このオイルミストを気象研究所の雲生成チェンバーに導入し、チェンバーの気温を極低温まで下げていき、水雲と氷晶の生成を各種測定器でリアルタイムに測定・評価する。実験結果に基づき、オイル粒子の氷晶核能を評価する。煤粒子、硫酸アンモニウム粒子等についても、同じ条件で雲チェンバー実験を行い、オイルの氷晶核能と定性的、定量的に比較する。氷晶の発生メカニズムについても考察する。実験結果に基づきモデル化に必要なパラメータを提供する。2年目には、1年目の実験結果をふまえ、航空機エンジンからの主要な排出成分であるオイル、煤、硫酸塩等を用いた外部混合実験(それぞれの粒子種を別々に発生・導入した雲チャンバー実験)を行う。これによって、航空機排気中に異なる粒子種が混在した場合の氷晶の生成の仕方が、単一種の場合に比べてどうなるか、それぞれの粒子種が飛行機雲の生成にどの程度関与するか評価する。
【化学気候シミュレーション】
北半球を対象に、気象庁領域気候モデル(NHRCM)と結合した化学モデル(NHM-Chem)により、飛行機雲有りと無しの条件で放射伝達計算を行い、その差から飛行機雲による瞬時放射強制力を評価する。この計算を、航空機が排出する粒子が煤粒子のみとした場合、煤粒子とオイル粒子の2種類があるとした場合について行い、オイル粒子を考慮した場合に、どの程度飛行機雲が増えるか評価する。シミュレーションは、約60 kmの水平解像度で行うが、空間解像度の高いサブグリッドを用いた飛行機雲のパラメタリゼーションを組み込む。南半球についても同様に数値計算を行い、自然由来を含めた雲全体の放射強制力に対する飛行機雲の寄与率を推定するほか、飛行機雲による瞬時放射強制力と航空機由来のCO2の放射強制力を全球で定量的に比較する。

今年度の研究概要

〇雲チェンバー実験,CCN実験
航空機用エンジンオイルを希釈せず、ガラス製ネブライザーで噴霧し、純オイルからなるオイルミストを生成させる。このオイルミストを気象研究所の雲生成チェンバーに導入し、チェンバーの気温を極低温まで下げていき、水雲と氷晶の生成を各種測定器でリアルタイムに測定・評価する。実験結果に基づき、オイル粒子の氷晶核能を評価する。煤粒子、硫酸アンモニウム粒子等についても、同じ条件で雲チェンバー実験を行い、オイルの氷晶核能と定性的、定量的に比較する。氷晶の発生メカニズムについても考察する。

〇化学気候シミュレーション
飛行機雲の入力方法検討,計算条件検討。

外部との連携

気象研究所 田尻拓也,岩田歩

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