排出量の変化による気候・大気質変動の再現と将来予測情報の創出(令和 8年度)
Development of information on historical and future changes in climate and air quality associated with emission changes

研究課題コード
2630AB103
開始/終了年度
2026~2030年
キーワード(日本語)
気候モデル,予測不確実性低減,気候と大気質の相互作用,気候安定化目標
キーワード(英語)
Climate Models,Reducing Predictive Uncertainty,Interactions between Climate and Air Quality,Climate Stabilization Targets

課題代表者

永島 達也

  • 地球システム領域
  • 副領域長
  • 博士(理学)
  • 物理学,コンピュータ科学,地学

担当者

研究概要

気候変動・地球規模汚染プロジェクトのPJ3では、近年頻発する極端な気象現象や国際社会の不安定化によって将来の気候変動への懸念が拡がっている現状を踏まえ、排出量の変化による気候と大気質の変動の要因解明と将来予測情報の高度化を目的とする。そのため、温室効果ガス(GHG)および短寿命気候強制因子(SLCF)の排出量に関する最新の情報と最先端の気候モデルや地球システムモデル等を用いて、気候と大気質についての過去から現在の再現と将来予測のための数値シミュレーションを実施する。さらに炭素循環の不確実性や気候緩和と大気質改善のシナジー・トレードオフも考慮した上で、AI等も利用した新たな手法を活用して解析し、気候と大気質の変動の要因解明と将来予測の不確実性低減を実現する。とりわけ、パリ協定の気候安定化目標(1.5℃・2℃目標)の実現可能性を評価し、顕在化しつつある気候変動がオーバーシュートを含めた異なる排出シナリオでどう変化するかを明らかにする。これにより、適応・緩和策の検討や動機づけに資する、これまでより信頼性の向上した科学的知見と情報を創出するとともに、IPCCの第7次報告書等へのインプットを通して、気候変動と地球規模汚染対策の推進に貢献する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

気候変動とそれをもたらす大気質変動の要因解明と将来予測情報を高度化し、パリ協定における気候安定化目標の実現可能性を評価するため、PJ1,PJ2で得られたものを含む、GHGとSLCFに関する最新の排出量データと全球規模の気候モデル(MIROC7)や地球システムモデル(MIORC6-CHASER)等を用いて、気候と大気質の過去再現および将来予測シミュレーションを実施する。これらの結果や入手可能なマルチモデルシミュレーションデータを、GHGの大気中濃度形成に関する排出量や吸収量などによる影響(より広義には炭素循環)の不確実性や、大気質の改善策と気候緩和策がそれぞれに与える正負の影響(つまりシナジーとトレードオフ)を評価する観点を踏まえて、AI等を活用した手法により解析し、観測された気候や大気質変動の要因解明を進めるとともに、将来予測の不確実性を低減する。これらにより、これまでに比べて信頼性が向上した気候と大気質についての将来予測情報を創出し、適応策や緩和策の検討に資する。得られた成果は、査読論文として公表するとともに、IPCCの第7次報告書等の国際的な活動に科学的知見として提供し、気候変動と地球規模汚染対策の推進に貢献する。
1〜3年目には、最新の排出データと最先端の地球システムモデルを用いて、IPCC第7次評価報告書への貢献に向けたCMIP7実験を中核とした大規模な数値シミュレーションを実施するとともに、マルチモデルデータの取得と整備を進め、AI等を活用した高度な解析手法を開発して、気候や大気質変動の要因解明や将来予測の不確実性評価・低減を図る。また、パリ協定の気候安定化目標(1.5℃・2℃目標)が達成される場合や同目標を超過するオーバーシュートシナリオを含めた異なる複数の将来シナリオの下で気候変動の将来変化を分析する。4〜5年度目には、炭素循環の不確実性や気候緩和と大気質改善のシナジー・トレードオフを考慮した追加シミュレーションや分析を加えて、気候安定化目標の実現可能性を総合評価するとともに、適応・緩和策の検討や動機づけに資する科学的知見を創出する。

今年度の研究概要

最新の排出データおよび地球システムモデルを用いて、IPCC第7次報告書に向けたCMIP7 Fast Track実験等を実施する。あわせて、CMIP6およびCMIP7のマルチモデルシミュレーションデータの収集・整備を進め、気温変化予測の不確実性の評価・低減に資するAI解析手法の開発に着手する。さらに、エアロゾル変動に対する気候応答や炭素循環に関連する気候変動予測の不確実性について分析を進めるとともに、近年発生している極端な気象・気候現象の要因分析を実施する。

外部との連携

北海道大学、筑波大、東京大学、名古屋大、九州大、海洋研究開発機構、気象研究所、Environment and Climate Change Canada、National Center for Atmospheric Research