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野生イノシシの遺伝的特徴と豚熱(CSF)感染拡大の関係


論文情報
タイトル
Exploring the genetic basis of wild boar (Sus scrofa) and its connection to classical swine fever spread. Transboundary and Emerging Diseases.
野生イノシシの遺伝的特徴と豚熱(CSF)感染拡大の関係
著者
Saito, R., Kondo, N. I., Nemoto, Y., Takeda, T., Kanda, K., Nakajima, N., Beasley, J. C., & Tamaoki, M.

*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Transboundary and Emerging Diseases  
受理
2025年3月29日受理 2025年5月7日オンライン掲載   オンライン公開への外部リンク
概要

豚熱(CSF)は、家畜であるブタや野生イノシシにとって深刻な伝染病である。 本研究では、福島県を中心にサンプリングされたイノシシ348個体を対象に一塩基多型(SNP)による遺伝的分化の解析を行い、 遺伝的個体群構造とCSF感染拡大の関係を調査した。

382個のSNPデータに基づく解析の結果、河川(阿武隈川)は個体群間の遺伝的交流の障壁とはならず、 人間が構築したインフラ(都市、鉄道、高速道路など)がイノシシの分散を妨げていることが示唆された。 さらに、CSF感染個体の時系列的な分布と遺伝構造との関連から、CSFの感染経路が個体群構造と関係していることが明らかとなった。 これらの結果から遺伝情報を用いた個体群解析は、将来的な感染拡大の予測に有用である可能性が示された。

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