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個体の特性変化を考慮した群集組成の変化を評価するための新しい時間的β多様性指標の開発


論文情報
タイトル
Development of novel temporal beta-diversity indices for assessing community compositional shifts accounting for changes in the properties of individuals.
個体の特性変化を考慮した群集組成の変化を評価するための新しい時間的β多様性指標の開発
著者
Nakadai, R.
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Ecological Indicators  DOI: 10.1016/j.ecolind.2022.109427
受理・掲載
2022年9月4日 受理, 2022年9月18日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

気候変動は種の分布変化を通して、局所的な生物多様性に影響を与えることが良く知られている。近年、温暖化は各個体の生活史(例えば、寿命や成長)を変化させることが報告され始めており、個体の生活史変化の積み重ねも局所的な生物多様性に影響しうると考えられています。しかしながら、これまで、生物多様性の時間変化を考える上で、この二つのプロセスを分けて定量的に評価する方法はありませんでした。

 本研究では、この問題に対して、個体の生活史が記録されている毎木調査のデータを対象として、それぞれを分離して多様性の時間的な変化(時間的β多様性)を評価することが可能な指標を開発し、提案しました。本研究の結果は、生物多様性に関する研究と個体の生活史や生理に関する研究の橋渡しをする概念的な進歩でもあり、今後、異なる生命の階層にまたがる気候変動影響のより包括的な理解が促進されることが期待されます。