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西表島マングローブ林における塩濃度に沿ったアーバスキュラー菌根菌群集相


論文情報
タイトル
Arbuscular mycorrhizal fungal communities of a mangrove forest along a salinity gradient on Iriomote Island.
西表島マングローブ林における塩濃度に沿ったアーバスキュラー菌根菌群集相
著者
Akaji Y., Inoue T., Taniguchi T., Baba S.
赤路康朗井上智美、谷口武士、馬場繁幸
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Plant and Soil 2022, 472.  DOI: 10.1007/s11104-021-05193-4
受理・掲載
2021年10月13日 受理, 2021年10月25日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

維管束植物の7割以上はアーバスキュラー菌根菌(Arbuscular mycorrhizal fungi,以下AM菌)という菌類と共生して土壌中の養分を効率良く吸収しています.
本研究では,汽水域という過酷な環境に生育するマングローブ植物にAM菌がどのように共生しているのかについて調べました(写真1).
比較的陸側に生育するオヒルギでは,一部の個体の根内からAM菌の器官(菌糸等)が顕微鏡下で観察されました(写真2).一方で,より海側(干潟)に生育するヤエヤマヒルギの根内からはAM菌の器官は見つかりませんでした.
また,遺伝解析と顕微鏡観察のデータを対応させることで,オヒルギの根内で菌糸を発達させていたAM菌はアカウロスポラ属であることが推定されました.

写真1 本調査地である西表島後良川沿いのマングローブ林.
写真1 本調査地である西表島後良川沿いのマングローブ林.

写真2 オヒルギの根内から見つかったアーバスキュラー菌根菌.菌糸や樹枝状体(植物と菌根菌が養分を交換する場所)等の器官が見られる.
写真2 オヒルギの根内から見つかったアーバスキュラー菌根菌.
菌糸や樹枝状体(植物と菌根菌が養分を交換する場所)等の器官が見られる.