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気候変動により引き起こされる国立公園の高山景観の価値低下


論文情報
タイトル
Decline in the alpine landscape aesthetic value in a national park under climate change
気候変動により引き起こされる国立公園の高山景観の価値低下
著者
Mameno, K., Kubo, T., Oguma, H., Amgai, Y., Shoji Y.
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Climatic Change, 170, 35. DOI: 10.1007/s10584-022-03322-1
受理・掲載
2022年1月30日 受理, 2022年2月19日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
インフォメーション
本論文がNature Climate Changeでハイライトされました。
AESTHETIC CHANGES Losing snow and value  美的変化 雪を失い、価値を失う
Findlay A.(2022) Losing snow and value. Nature Climate Change. 12, 313. オンライン公開への外部リンク
概要

高山植物や雪渓などから成る高山景観は、レクリエーションサイトの提供など、我々人間社会に様々な恩恵をもたらしています。しかしながら、このような高山景観は、気候変動に非常に脆弱であり、気候変動下におけて景観景観の劣化が予測されています。

そこで我々は、日本の山岳国立公園である大雪山国立公園を事例地として訪問者を対象とした選択実験調査を実施することで、気候変動による高山景観の劣化が我々人間社会に及ぼす影響を貨幣価値で評価しました。なお、本研究では、高山景観の美的価値を評価するために、選択実験の調査設計に気候変動シナリオと自然科学的知識に基づいた合成写真を用いました。

結果として、訪問者は、雪山や高山植物などの高山景観を高く評価していることが明らかになりました。また、気候変動による景観の劣化がもたらす経済的損失は、観光客1人あたり最大で10000円以上と推定されました。本研究では、気候変動が高山景観に関連する社会的便益に与える影響を考慮した上で、気候変動対策の重要性を明らかにしました。

図:大雪山における高山景観
図:大雪山における高山景観