本文へスキップ

ミツバチにおけるアカリンダニへの自己グルーミング行動に、ネオニコチノイドが与える影響


論文情報
タイトル
Effects of neonicotinoids on honey bee autogrooming behavior against the tracheal mite Acarapis woodi.
ミツバチにおけるアカリンダニへの自己グルーミング行動に、ネオニコチノイドが与える影響
著者
Sakamoto Y., Yoshiyama M., Maeda T., Goka K.
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Ecotoxicology DOI: 10.1007/s10646-021-02503-5
受理・掲載
2021年11月16日 受理, 2022年1月4日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

アカリンダニ(写真1)は、ミツバチの気管に寄生する微小なダニです。

このダニが体表に付着した際に、ミツバチが気付いて払い落とすことで、寄生が抑制できると考えられていますが、このような対抗行動に対し、ネオニコチノイド系農薬がどのような影響を及ぼすかはわかっていませんでした。

本研究において、ミツバチに、ネオニコチノイド3剤を投与し(写真2)、アカリンダニを付着させたところ、ダニの除去率への影響は確認されなかったものの、一部の薬剤で、ダニに気づくまでの時間が短縮し、また、ダニを払い落とす行動(グルーミング)の回数が増加しました。

ネオニコチノイドは、昆虫の神経を興奮させ続けることで殺虫作用を示しますが、亜致死濃度(死に至らない)濃度では、行動異常を起こすことが想定され、今回の実験結果からは、ミツバチの過敏性を亢進させる可能性が示唆されました。

アカリンダニ

写真1 アカリンダニ Acarapis woodiの雌成虫 ホコリダニ科に属する体長0.1mm程のとても小さな寄生ダニ

強制給仕様子
写真2 農薬入りショ糖溶液の強制給餌