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様々な生物多様性や生態系サービスの半定量的なデータから保全優先順位付けができるツールSecSelの開発


論文情報
タイトル
SecSel, a new software tool for conservation prioritization that is applicable to ordinal-scale data for multiple biodiversity features
様々な生物多様性や生態系サービスの半定量的なデータから保全優先順位付けができるツールSecSelの開発
著者
Takenaka A., Oguma H., Amagai Y., Ishihama F.
竹中明夫、小熊宏之、雨谷教弘、石濱史子
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
PLOS ONE DOI: 10.1371/journal.pone.0247737
受理・掲載
2021年7月12日 受理, 2021年7月23日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

SecSelは、生物などの分布データをもとにして、どこにどのような保護区を設定したら多様な生物を効率よく守れるかを調べるソフトウエアです。広い地域のなかで、多くの種類の生き物について、どこに何個体といった正確なデータを揃えるのは大変ですが、「多い」「ふつう」「少ない」「ほぼいない」といった程度のデータなら比較的用意しやすくなります。SecSelは、こうした半定量的なデータも活用できるところが類似のソフトウエアと比べたときの大きな特徴です。なるべくコストをかけずに多くの種をカバーする、保護区にする場所ができるだけ近くにまとまるようにする、といった設定もできます。

SecSelを使って、大雪山国立公園の高山植物を保全する場所の選定を試みました。とくに注目したのは気候変動の影響への対策です。すでに高山でも気温の上昇が起きつつある中で、そこに侵入してくるササなどの刈り取りも必要になってきます。また、高山植物は重要な観光資源でもあるため、保全に重点をおく場所とは別に観光に利用する場所も必要です。SecSelを利用することで、保全と利用の両立や、管理のコストや空間的なまとまりに配慮しながら、ササ対策などの実施場所の候補を柔軟に選定できることを示しました。

SecSel

関連情報

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