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様々な種構成で実施した稲田養魚での魚類の成長と摂餌行動


論文情報
タイトル
Growth and feeding behavior of fishes in organic rice-fish systems with various species combinations
様々な種構成で実施した稲田養魚での魚類の成長と摂餌行動
著者
Saowakoon S., Saowakoon K., Jutagate A., Hiroki M., Fukushima M., Jutagate T./
Samnao Saowakoon, Krittima Saowakoona, Achara Jutagateb, 広木幹也, 福島路⽣, Tuantong Jutagateb
*下線で示した著者は国立環境研究所所属
雑誌
Aquaculture Reports, 20, 100663 DOI: 10.1016/j.aqrep.2021.100663
受理・掲載
2021年3月7日 受理, 2021年3月16日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

水田で稲を栽培すると同時に鯉や鮒などの淡水魚を養殖し、副次的な収益を得る「稲田養魚」は、日本でも中山間地域などで古くから行われている。無農薬かつ施肥をしないことも多いため、安全安心で環境に優しい農業として近年再び注目されている。私たちは東南アジア・タイの研究者らと協力し、現地で実施した稲田養魚実験から取得した筋肉サンプルの炭素窒素安定同位体比を測定し、得られたデータを解析した。実験では、水田12区画で7月から10月まで稲を栽培し、同時に淡水魚7種とエビ1種を4通りの組み合わせで養殖した。そして、この期間の各魚種の成長、食性、また水田生態系の食物網構造の変化を追跡した。その結果、いずれの魚種も1-2%/日の成長を示し、植物プランクトン、付着藻類、動物プランクトン、昆虫類を魚種ごとに食い分けていることが分かった。また雑食性の強いコイ科魚類などは、同所的に養殖される他魚種の食性に応じて柔軟に餌生物を変えることが示された。

※炭素窒素安定同位体比分析:これら2元素の安定同位体比を測定することで餌資源や栄養段階を推定することができる。

4種類の魚種の組み合わせにおける魚種ごとの筋肉組織の炭素窒素安定同位体比の月別変化

図:4種類の魚種の組み合わせ(aからd)における魚種ごとの筋肉組織の炭素窒素安定同位体比の月別変化(1から4)

実験に利用した水田のひとつ
写真:実験に利用した水田のひとつ(13 m × 22 m)