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日本の国内の道路沿いに自生する遺伝子組み換えナタネの10年間の消長


論文情報
タイトル
Occurrence of spilled genetically modified oilseed rape growing along a Japanese roadside over 10 years
日本の国内の道路沿いに自生する遺伝子組み換えナタネの10年間の消長
著者
Nakajima N., Nishizawa T., Aono M., Tamaoki M., Saji H.
中嶋信美、西沢徹、青野光子、玉置雅紀、佐治光
雑誌
Weed Biology Management, 20, 139–146 DOI: 10.1111/wbm.12213
受理・掲載
2020年11月16日 受理, 2020年12月28日 オンライン掲載 オンライン公開への外部リンク
概要

我々は日本国内の道路沿いに自生するセイヨウナタネの分布を把握するために、国道51号線のうち佐原から成田までの19kmについて、2005年から2014年までの10年間、調査を行った。最初の2年間は2000個体以上のセイヨウナタネが見つかったが、2007年から2010年の期間には150から305個体になり、2014年には27個体にまで減少した。この減少はおそらく大規模な道路の改修工事によるものである。この調査により、非常に出現頻度の高い場所が3箇所見つかった。1つは道路の高低差の頻度が多い場所で、2つ目は道路が狭くなる場所であった。これらの場所では輸送車が加速と減速を繰り返すためセイヨウナタネの種子がこぼれ落ちやすいものと考察した。3番目は金網に囲まれた場所で、このような場所にセイヨウナタネの種子がこぼれ落ちると、除草管理ができないため生育しやすいと考えられる。自生しているセイヨウナタネ群落における遺伝子組換え体の割合は非常に低かったが、その割合はセイヨウナタネ全個体数の減少に伴ってさらに減少した。調査区間周辺にはセイヨウナタネと交雑可能な種は見つからないことから、遺伝子組換えセイヨウナタネのこぼれ落ちによる、他種の生育抑制や浸透交雑などの生物多様性への影響は生じていないと結論した。本論文は日本国内の道路沿いに自生しているセイヨウナタネを長期にわたり調査した最初の報告である。

除草剤耐性ナタネ
写真 : 高速道路の法面で生育していた除草剤耐性ナタネ