熱帯・亜熱帯域における沿岸生態系は、造礁サンゴや大型海藻類、海草類から構成されることが多い。しかし、造礁サンゴや海草類に比べて大型海藻類の認知度は低く、分布・生態に関する情報も乏しい。本研究では、沖縄本島一帯に配置した定点において、大型海藻類の一種であるホンダワラ科褐藻類、サンゴや海草の分布調査を実施した。現地調査の結果、サンゴはほとんどの地点で出現したが、ホンダワラ科褐藻類は東海岸の南部から中部にかけて出現し、地理的な分布に著しい偏りがあることが明らかとなった。ホンダワラ科褐藻類の分布を規定する環境要因を検討したところ、北東向きの開放性や冬季の波当たりに強く支配されていることが明らかとなった。本研究は、沖縄本島における海藻藻場の形成要因を把握する上で有益な知見を提供するものである。
写真1:沖縄本島の東海岸で見られた ホンダワラ科褐藻類を主体とした藻場 |
写真2:ホンダワラ科褐藻類と造礁サンゴ |