世界自然遺産候補地における非致死的ノネコ管理に対する観光客の募金意欲

論文情報

タイトル

Tourist intentions to donate to non-lethal feral cat management at a potential natural World Heritage site in Japan
世界自然遺産候補地における非致死的ノネコ管理に対する観光客の募金意欲

著者 　　　　　　

Mameno, K., Kubo, T.
豆野皓太、久保雄広

＊下線で示した著者は国立環境研究所所属

掲載雑誌 　　　　　　

Human Dimensions of Wildlife
DOI: 10.1080/10871209.2020.1799265 　　　　　　

受理日など 　　　　　　

2020年7月6日 受理、2020年8月3日オンライン掲載　

概要

世界自然遺産候補地である奄美大島において、生物多様性を保全する上で野外に生息するネコ（ノネコ）の管理が課題となっている。本研究では奄美大島における非致死的なノネコ管理に対する観光客の募金意欲を定量的に明らかにした。分析の結果、80％以上の観光客がノネコの非致死的管理に募金する意欲を示しており、観光客一人当たりの支払意思額（募金額意思額）は平均約1374.1円であると推定された。また、回答者の収入や致死的な管理オプションに対する態度、奄美大島の環境に対する認識が寄付額に影響を与えることが示された。本研究は保全をめぐる関係者の軋轢を抑えつつ、生物多様性を保全するノネコ管理戦略の構築に向け、有益な知見を提供するものである。

図：奄美大島における観光客とネコの関わり