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中国、東チャオシー川における水草の系統的群集構造に対する水質汚染の影響
論文情報
- タイトル
- The effects of water pollution on the phylogenetic community structure of aquatic plants in the East Tiaoxi River, China
中国、東チャオシー川における水草の系統的群集構造に対する水質汚染の影響
- 著者
- Toyama, H., Bessho, K., Huang, L., Hirota, K.S., Kano, Y., Mase, K., Sato, T., Naiki, A., Li, J., Shimatani, Y., Yahara, T.
遠山弘法、別所和博、Liangling Huang、廣田峻、鹿野雄一、間瀬慶子、佐藤辰郎、内貴章世、Jianhua Li、島谷幸弘、矢原徹
*下線で示した著者が国立環境研究所所属
- 掲載雑誌
- Freshwater Biology
DOI: 10.1111/fwb.13451
- 受理日など
- 2019年11月6日 受理、2019年12月18日掲載
概要
水質汚染は、世界で最も深刻な環境問題の1つです。とくに中国では、最近の農業および産業の発展により飲料水汚染も生じています。中国で3番目に大きい太湖では、2007年5月に200万人もの人が、少なくとも1週間水が飲めない状況が続きました。
水質汚染に伴い、水生生態系も急速に変化しています。本研究は、太湖の流入河川の一つである東チャオシー川において水生生態系を支える水生植物の多様性に対する水質汚染の影響を明らかにする事を目的としました。
水質汚濁とアオコ量の増加により、多様性は減少し、群集は系統的に偏った分類群で構成されるようになる事が分かりました。また、地理的距離とアオコ量により系統的な置き換わりが生じている事が分かりました。観察されたパターンは、環境フィルタリングによって説明でき、水質汚染が水草群集の種組成、系統的組成を決めるうえで重要である事を示唆します。

図:調査地の様子
高い濁度の中、水草が生育している。