外来種問題に持続的に取り組むためには住民の協力が欠かせない。特に、野外で野生動物を捕食するノネコは、飼い猫が供給源であるため、飼い主をはじめとする住民と管理者の間での意思疎通が管理の成否を握っている。
本研究では、20年以上にわたる小笠原諸島のネコ管理に関し、地方行政が住民にどのような情報を提供し、協力を求めてきたのか、『村民だより』の内容(テキスト)を分析することで明らかにした。
その結果、管理の目的が公衆衛生の改善から生態系の保全へと変化してきたことが示された。
左写真:小笠原諸島父島、大村地区
図 『村民便り』の内容の例およびテキスト分析で示された情報提供の変遷
1996年頃は、飼い猫やノネコに関する単語のつながりは弱いが、2016年頃になると、それら単語のつながりが強まった。
また、ネコに関する単語と、ノネコに捕食されるアカガシラカラスバト、外来種、生態系などの単語とのつながりも現れるようになった。