国立研究開発法人 国立環境研究所
環境リスク・健康領域 Health and Environmental Risk Division
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旧組織アーカイブ:環境計測研究センター 研究室(第4期中長期計画)

応用計測化学研究室

応用計測化学研究室の計測機器の写真
a) GC×GC-HRTOMS、b) GC×GC-MS/MS、
c) GC×GCモジュレーター(GC内部)

有機化合物の網羅的一斉分析や地球上の炭素循環を解明するための研究など、先進的で先導的な化学物質の分析法の開発とそれを応用した研究を行っています。
POPsを含む各種有機化合物について、モニタリング手法、迅速分析法、網羅分析法の開発や分析対象媒体の拡大を目指して、GC×GC-HRTOFMS、GC×GC-MS/MSなどによる環境試料中の各種有機ハロゲン系化合物の一斉定量法、網羅分析に必要とされるデータ解析法及びそのLC-HRTOFMSへの応用などを研究しています。また、放射性炭素同位体等を用いて、土壌有機炭素の分解特性やCO₂の発生源の特定を進めることで、温帯域から北極域まで様々な生態系における炭素循環の実態とメカニズム解明につながる研究をしています。


基盤計測化学研究室

環境中に存在するさまざまな物質を化学的な方法で計測するために必要な手法の開発・改良について研究するとともに、環境計測における精度管理の維持・向上についても研究や普及を行っています。
複雑な組成を持つ環境試料中の化学物質や元素濃度についての環境標準物質の作製や頒布を行うことや、将来の利用に備えて環境試料を低温環境で長期保存するタイムカプセル化事業も、本研究室が担っている重要な課題です。
測定手法の開発・改良は、検出の高感度化、同位体比の高精度分析、多成分の一斉分析、簡易分析法や不確かさが小さくトレーサビリティの取れた手法など、多岐にわたります。例えば、藻類に含まれているシアノトキシンと呼ばれる有毒物質群を、液体クロマトグラフィ質量分析法により一斉分析する方法を開発したり、地球規模で循環している大気中の水銀の安定同位体比をマルチコレクターICP質量分析法により精密測定するなどの取り組みを行っています。

高精度同位体分析計と環境標準物質の写真

動態化学研究室

環境中の化学物質の動態や生物地球化学的循環を様々な時空間スケールで把握するための計測技術の開発とその応用に関する研究を行っています。
具体的には、様々な場所から採取された堆積物に含まれる微化石や有機物中の放射性炭素同位体(¹⁴C)、バイオマーカー、軽元素同位体(炭素、酸素、水素、窒素など)の精密分析に基づく古環境解析や炭素循環解析(図)、温暖化やオゾン破壊に関わる揮発性有機化合物(VOC)の大気への放出プロセスに関する研究(写真)、大気中酸素濃度の測定に基づくグローバルな炭素循環やCO₂変動成分の変動成分の発生源別寄与率の推定方法を確立に関する研究等を推進しています。

動態化学研究室の研究内容を示した図
熱帯雨林に設置された観測装置の写真
生物起源VCの測定のために熱帯雨林に設置された観測装置

遠隔計測研究室

環境監視に活用できる、能動型および受動型遠隔計測手法の開発とその高度化、そして能動型・受動型遠隔計測の複合利用に関する研究を行っています。具体的には、レーザーを用いた能動型遠隔計測装置ライダーによる地上ネットワーク観測とその高度化(図1)、ライダーと受動型遠隔計測装置の複合利用手法の開発と応用(図2)、そして新たなライダー技術の開発といった測器及び解析技術の開発・高度化を行っています。また、遠隔計測データを用いたエアロゾル・雲の地球気候・大気環境への影響研究にも取り組んでいます。

ライダーによる地上ネットワーク観測の研究内容を示した図
能動型・受動型センサーの複合利用の研究内容を示した図

反応化学計測研究室

環境中での反応性化学物質(汚染物質)の時空間分布変動や化学変質機構の解明のための、前駆体物質や変質の指標計測、物質のリアルタイム追跡、変質が特異的に進行する場の選択的計測に係る手法の開発・高度化とその活用に関する研究を実施しています。
具体的には、化学イオン化質量分析法を用いた大気光酸化反応実験やフィールド観測、ガスクロマトグラフィ/質量分析法による有機指標成分測定に基づくPM2.5の起源・動態解析、新規の界面反応測定手法を用いた気液界面で起こる不均一ラジカル反応のその場計測などを行っています。

取り組む課題の内容を示した図
課題解明のための技術の内容を示した図

画像・スペクトル計測研究室

画像・スペクトル計測研究室では、自然環境、生態系、ヒトなどを対象とした計測手法の応用、計測データからの環境情報の抽出といった研究に取り組んでいます。
自然環境、生態系に関しては、動植物の行動や状態の変化のモニタリングを目的として、定点撮影カメラやドローンを用いた測定や画像解析手法の開発や応用を行っています。例えば、高山帯での連続画像データ取得による融雪時期や植生活動モニタリング、湿地帯での絶滅危惧植物の自動検出、浅海域でのサンゴなどの測定を行っています。
ヒトに関しては、化学物質のヒト脳への影響評価を目標として、ヒト側からのアプローチと動物側からのアプローチを試みています。ヒト側からは、MRIを用いた定量測定、解析法の開発と高度化、開発した測定法を用いた健常人ベースラインデータや患者データの蓄積とその統計解析から、新たな指標情報の抽出を目指しています。動物側からは、化学物質曝露動物でのこの指標応答評価を行うことを目指し、この両者から化学物質のヒト脳への影響評価ができるのではないかと考えています。

自然環境を対象とした研究とヒトを対象とした研究の内容を示した図


環境リスク・健康領域

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