14C同位体を用いた暗黒海洋における化学合成微生物による炭素固定能算出手法の開発(令和 8年度)Estimate of carbon asimilation rate of deep sea chemoautoroph using radiocarbon
- 研究課題コード
- 2629CD009
- 開始/終了年度
- 2026~2029年
- キーワード(日本語)
- 放射性炭素,加速器質量分析,古細菌,分子レベル14C分析,炭素循環,化学合成独立栄養代謝
- キーワード(英語)
- Radiocarbon,Accelerator Mass Spectrometry (AMS),Archaea,Molecular-level radiocarbon analysis,Carbon cycle,Chemolithoautotrophic
課題代表者
内田 昌男
- 地球システム領域
物質循環研究室 - 主幹研究員
- 博士(農学)
- 化学,地学,理学
研究概要
近年の分子生物学的手法、特にPCRの発明により、海洋のあらゆる場所に古細菌が存在していることが明らかにされて久しい。その後、古細菌による年間の炭素固定量が、有光層内の光合成炭素固定量に匹敵すると報告がなされたことから、古細菌の炭素循環における重要性が注目されるようになった。しかしながら、化学合成古細菌の現場での培養は極めて難しいことから、正確な炭素固定速度データは得られいないことから、その信頼性は極めて低い。よって、炭素循環における実態は未だ不明なままである。本研究では、暗黒海洋の未知微生物群に属する化学合成古細菌の炭素固定量を実測するための新たな手法を開発する。分子レベルでの14C同位体計測が可能なバイオマス量を回収できる装置(セルソーター)を開発し、分子レベル14C同位体分析 (CSRA)によるマスバランスに関する統計解析の結果と現場培養によるRNA群集解析の結果を統合的に組み合わせたモデルを用いて、海洋炭素循環における古細菌の実像に迫る。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究は、未だ「ブラックボックス」とされてきた暗黒海における古細菌群集の炭素固定能を世界で初めて包括的に解明するための挑戦である。近年、暗黒海にも膨大な古細菌群集が存在し、光合成に依存しない化学合成独立栄養を営んでいることが示唆されてきたが、その実態は断片的データにとどまり、地球規模炭素循環モデルへの定量的反映は不可能であった。本研究では、暗黒海古細菌群集の代謝情報(独立栄養、従属栄養)とバイオマスと増速速度からなる炭素固定能に関する定量値を算出するため、(1) セルソーターによる効率的バイオマス回収技術、(2) 化合物レベル14C分析とベイズMCMCモデルによる炭素源利用比率の推定手法、(3) 現場培養装置による「真の代謝速度」測定手法、という三位一体からなる手法を開発する。本研究で開発される手法は、これまでにない微生物による炭素循環動態を定量的に解明可能な唯一の手法であることから、暗黒微生物の炭素循環における新知見が得られる可能性があることから、海洋微生物の炭素循環のパラダイムを変えるインパクトを有する。
今年度の研究概要
大量の海水資料から細胞セルを精製濃縮するための装置の開発を行う。
外部との連携
筑波大学、山形大学、東京薬科大学。研究代表者は筑波大学 内海真生教授