妊娠期PM2.5曝露により子に継承されるエピゲノム異常の解析:ミャンマー調査研究(令和 8年度)
Analysis of epigenetic abnormalities transmitted to children by maternal PM2.5 exposure: Study in Myanmar

予算区分
国際共同研究強化B
研究課題コード
2626CD003
開始/終了年度
2026~2026年
キーワード(日本語)
妊娠期曝露,PM2.5,DNAメチル化
キーワード(英語)
Gestational exposure,PM2.5,DNA methylation

課題代表者

鈴木 武博

  • 環境リスク・健康領域
    病態分子解析研究室
  • 主幹研究員
  • 工学博士
  • 生物学,生化学

担当者

研究概要

前中長期までに同テーマで下記のことに取り組んだ。本研究課題は、当該テーマについて継続して検討を行うものである
妊娠期の微小粒子状物質(PM2.5)曝露による次世代への健康影響が報告されているが、メカニズムは未解明である。ミャンマーでは、急速な経済成長に伴って大気汚染が深刻化しているが、PM2.5測定値は限定的であり、研究としてもほとんど報告がない。本研究では、次世代影響メカニズムの1つと考えられているエピゲノムに着目し、妊娠期のPM2.5曝露により、生後まで持続的に観測される血液DNAのエピゲノム異常の解析を行う。また、PM2.5曝露濃度とエピゲノム変化を高精度に対応させるため、ポケットPM2.5センサーを用いたPM2.5の個人曝露量評価及びハイボリウムエアサンプラーで採取したPM2.5抽出物のGC-MSによる成分分析を行う。PM2.5測定を精緻化するため、ポケットPM2.5センサーの校正・検証にあたっては、ミャンマーと同程度の高濃度が生じる地域での並行測定が望ましい。これに向け、マレーシアでも同様の研究を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では、以下の3テーマの研究を行う。
(1)ポケットPM2.5センサーを用いた妊娠後期のPM2.5の個人曝露量測定、及びPM2.5高濃度の場所で収集した大気のGCMSによる約1,200物質の一斉分析。
(2)妊婦臍帯血DNA及び生後の子供の頬粘膜DNAを用いた次世代シークエンサーによるDNA全体のメチル化解析。
(3)臍帯血DNA及び生後の子供の頬粘膜DNAのメチル化変化に対応するPM2.5成分の同定。
具体的には、PM2.5の情報が極めて限定的な東南アジアにおいて、PM2.5濃度が高い地域、PM2.5濃度が低い地域で、十分なインフォームドコンセントを実施し、研究に同意いただいた妊婦の妊娠後期の妊婦にポケットPM2.5センサーを装着し、PM2.5濃度の個人曝露量を定量的に明らかにする。また、PM2.5濃度が特徴的に高い場所のPM2.5成分分析を行う。さらに、出産時に臍帯血を、産まれた子供から頬粘膜を採取し、臍帯血DNAおよび頬粘膜DNAにおいて、次世代シークエンスによるDNA全体のメチル化解析を行い、変化したDNAメチル化部位を、性差にも着目して明らかにする。最終的に、PM2.5高濃度の場所で特徴的に検出されるPM2.5成分とDNAメチル化変化を対応させ、DNAメチル化変化へのPM2.5各種成分の寄与を明らかにする。問診票等による子供の健康調査、行動調査も行い、子供の健康異常が観測された場合は、DNAメチル化変化及びPM2.5各種成分と対応させることでPM2.5曝露による次世代健康影響メカニズムの一端の解明を目指す。

今年度の研究概要

マレーシア国内において、ポケットPM2.5センサーPROを数十台用い、数km規模の範囲でPM2.5濃度の同時観測を実施する。各観測地点におけるPM2.5濃度の空間的・時間的変動を把握するとともに、風向・風速データから主な発生源の解析を試みる。また、取得したデータはGISを用いて地図上にプロットし、濃度分布の空間的特徴を可視化する。観測に先立ち、測定精度を担保するため、ポケットPM2.5センサーPROの校正を実施する。その後、研究協力者の自宅軒先などにセンサーを設置し、約3日間程度の連続測定を行うことで、高密度な観測ネットワークを構築し、地域スケールでのPM2.5濃度分布およびその変動要因を解析する。
前年度から引き続き、PM2.5濃度の個人曝露量を測定した妊婦及び産まれた子供から臍帯血と頬粘膜を採取し、それらのDNAで、次世代シークエンスによるDNA全体のメチル化解析を行う。PM2.5濃度により変化したDNAメチル化部位を、性差にも着目して明らかにする予定である。同時に、すでに採取を終えているミャンマーのUM1におけるサンプルを使用し、次世代シークエンスによるDNA全体のメチル化解析を行い、PM2.5濃度により変化したDNAメチル化部位を、性差にも着目して明らかにするための準備をすすめる。

外部との連携

Universiti Sultan Zainal Abidin(UniSZA)、マレーシア

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